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【東京ヴェルディユース】歴史ある、クラブの「宝」。ヴェルディらしさとは何か

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「何にしても日本一になる」。藤吉信次監督のコンセプトのもと成長 読売クラブ時代から続く、ユース組織の育成は東京Vの「宝」と言っても過言ではない。ユースからトップへの昇格も多く、今季は井上潮音、林昇吾、郡大夢の3人がトップチーム入り。トップチームの実に16人がユース出身者で構成されていることからも、いかにクラブがユースを大事にしているかが分かるはずだ。

(C)TOKYO VERDY

東京Vはトップチームから一番下のジュニアやスクールまで、一貫した育成方針の下で選手たちを育てている。その方針こそが、ヴェルディらしいサッカーを指導することにある。
「技術やテクニックを駆使して相手の逆をとる、相手を見ながら試合を進めることができるサッカーが、ヴェルディのサッカーだと思う」と語ったのは藤吉信次監督。ヴェルディらしいサッカーという大テーマが根幹にあり、クラブのコンセプトに沿ったチーム作りを進める中で、そこに監督のカラーを加えることでチームを強くする。昨季にユースの監督に就任した藤吉監督は、今季の目標に"日本一のチーム"という言葉を掲げている。

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「やっぱり何にしても日本一になろうと。例えば、それは挨拶でも取り組む姿勢でも、元気さやサッカーでもいいと。今年は何でもいいから日本一を目指そうという形でやっています」

(C)TOKYO VERDY

近年、なかなか思うような成績が出ない中で、藤吉監督は「基本の技術やテクニックの部分もあるが、それプラス人間としてプロになってから応援してもらえるような選手になってもらわないと困る」と人間性の重要さを説いている。そして、それは一貫した育成ができるクラブだからこそ、まだまだやることがあると話す。

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「そこは自分たちが教えるというよりも、下のジュニアからトップに上がるまでに周りの選手たちが教えていくんだと思います。上手いやつが下手なやつをうまくするというか、プレーを真似したり、背中を見て一緒にやったりすることが一番大きい。コーチたちはそれをつぶさないようにやろうということは考えています。一方で、さらに上に行くためにはプロ意識のところでもっと高い意識を持つことができるのではないかなと。真剣勝負をした中での楽しさや100%でせめぎ合う楽しさを味わってもらいたい。そういうところは大事にしてやっています」。

(C)TOKYO VERDY

選手が選手を育てる。それは多くの時間をともに過ごす仲間がいるからこそ成し遂げられる。周りと切磋琢磨することで人間としても成長し、その手助けを監督やコーチが担っている。今季の目標も残すところはあと二つ。高円宮杯U-18プレミアリーグへの昇格とJユースカップの優勝を目指し、東京Vユースは日々成長を遂げていく。

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DF 深澤 大輝(ふかざわ・だいき/3年)

173cmと少々小柄ながらも戦術理解に秀でたカバー能力と相手のプレーを読む力に長けた頭脳派DFは、1対1の守備にも自信を持ち、競り合いに対しては怯まず挑んでいく。チームを率いる藤吉監督から「ウチのマスチェラーノ」と賞賛されるなど、キャプテンとしても頼りになる存在だ。自身もマスチェラーノを目標に、ビルドアップを含めて守備面以外でもチームに貢献するプレーを意識している。

「今年のチームは昨年に比べたら個の力は強くないかもしれない。でも、今年は一人に頼るのではなく、チームみんなで同じイメージを共有して試合に勝つというのを監督やコーチ、選手みんなで話をしている。そういう状況の中で自分が率先して声をかけたり、泥臭いプレーを見せたり、背中で見せていける部分はあると思うし、自分から発信していけることもあると思う。常にチームを引っ張っていけるような選手になりたい。プリンス(リーグ関東)の後半戦では負けなしという成績は出ているので、自分がしっかりと改善点を見つけながら、その改善点をみんなで話し合って、昇格できるように一戦一戦を戦っていきたい」

DF 平田 竜士(ひらた・たつし/3年)

藤吉監督から「チーム一の元気印」と呼ばれるDF。気持ちを見せるプレーが得意で、チームに活力を与える存在として今季は副キャプテンにも任命されている。東京Vユースと聞けばテクニカルなイメージが強いが、「そういった選手とは違い、自分の長所は走力」と自身の特徴を説明。目指すスタイルに近い長友佑都選手をお手本とし、プレー面だけでなく人間性を高めることにも注力している。
「最上級生になり副キャプテンに任命されたこともあって、これまで以上にチームが団結するためにどうするのかというのを考えるようになった。出来るかぎり上下関係なくやるために、いろいろな学年の子と話して、チーム内にいい雰囲気をもたらせるようにと心がけている。やっぱりこういうことは副キャプテンになったことで自覚を持ったし、オガさん(小笠原資暁コーチ)や藤吉さんからもそういう面で期待されているので、いまは自分がやらなければいけないと感じています」

MF 大久保 智明(おおくぼ・ともあき/3年)

相手のゴール前で脅威を与えられる攻撃的MF。左利きで独特の持ち方によるドリブルが武器で、現東京Vユースの中でもドリブルで打開できる数少ない選手。もちろん、それだけでなく崩しのアイディアも豊富で「チームメートも認めるヴェルディらしい選手」(藤吉監督)。ネイマールのような"見ている人を楽しませるプレー"を意識して日々ドリブルに磨きをかけている。

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「3年生になり、責任感や練習に対する態度で周りの見本になれるように意識している。それは自分が1年生のときに、3年生にいた三竿健斗くん(現・鹿島)の影響が大きい。練習に対する態度や準備を毎日継続しているのを見て、そういうことができないと上には行けないと思った。(7月に行われた日本クラブユースサッカー選手権U-18大会で負傷して)最初は悔しかった。でも、出られなくなったときだからこそ、チームのためにできることをやってきた。今は復帰してサッカーができる有り難みを感じている。今後は昨年に成し遂げられなかったプレミア昇格を達成したいです」

MF 藤本 寛也(ふじもと・かんや/2年)

東京Vの下部組織育ちで、各年代別代表でもキャリアを積んでいるMF。止める、蹴るといった技術力のみならず、あらゆる場面で基準値以上のプレーができる非凡な能力の持ち主だ。藤吉監督は、そんな藤本を「指導者の考えを超えられるような選手」と評価。各年代別代表を経験したことで、志も高く、視線は次の東京五輪に向けられている。

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「(トップチームの井上)潮音くんは2個上ですけど、東京五輪だとあの年代が一番上になるので、そこには負けたくないという気持ちもある。そのためにも自分はもっと頑張らないといけないし、もっとレベルアップしなくてはいけない。今の目標はプレミア昇格とJユースカップでの優勝を目指している。なるべく多くの試合ができるようにというか、負けてしまうとどっちも試合が少なくなる。そうなると経験できるものが減ってしまうので、勝っていくことと結果を一緒に手にしたい。来年はプレミアで戦いたいという気持ちはあるので、勝負は今年しかないと思っている」

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取材・記事/エル・ゴラッソ東京V担当 林遼平
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