2007年に藤島崇之監督が就任して以来、急速に力をつけ、2016年と2018年にはインターハイで3位入賞。針谷岳晃選手(ジュビロ磐田)、松本泰志選手(サンフレッチェ広島)、佐相壱明選手(大宮アルディージャ)、原田虹輝選手(川崎フロンターレ)と3年連続でJリーガーを輩出している埼玉県の注目校、昌平高校の選手がどんな1日を過ごしているのか、密着取材してきたぞ!
■寮生の一日のスケジュール
~06:30 起床
06:45~08:15 朝食・掃除・登校
08:40~15:25 学校
15:30~17:30 練習・自主練
19:00~21:00 夕食・入浴・洗濯
21:30 点呼
21:30~23:00 自主学習
23:00~06:30 睡眠
学校から歩いてすぐの所にある天青寮には、ラグビー部、野球部、男子バスケ部の選手が在籍。サッカー部は207人の選手がいる選手のうち、ほとんどが自宅から通う生徒だが、近年の活躍により、県外からの志望者も多く、43人がこの寮で共同生活を過ごしている。「練習参加した際にボールを大事にするサッカーに憧れたのと、原田くんのプレーに衝撃を受けたのが入学の決め手」と話すMF大瀧愛登は岩手出身。他にも、青森や千葉、茨城などから来た選手がいるという。
寮の部屋は2人1部屋。それぞれにベッドと学習机、ウォシュレット付きのトイレが用意されており、快適に暮らすための環境が揃っているが、「仲間との時間を大事にして欲しい」との理由で部屋にテレビなど家電製品を置くのは禁止されている。選手の団らんの場となっているのはテレビが置かれた食堂で、昨年のワールドカップは寮生の皆で盛り上がったという。
「真面目な選手が多い」というスタッフの言葉の通り、規則正しい一日を送っているのも昌平の特徴だ。寮生は6時40分までに起床し、45分に食堂で点呼を行い、朝食の時間が始まる。朝食を摂るタイミングは2グループに分かれており、1つのグループが食事を摂る間に、もう1つのグループはそれぞれに与えられたエリアの掃除を実施してから、空腹を満たす。1か月ごとに掃除のグループが変わり、全員が寮の掃除を行うことになるため、綺麗に保とうという意識が強いという。
食事を終えると、8時15分までに登校。他の部活に所属する寮生は自転車通学が可能だが、サッカー部の寮生は徒歩で通学するのが、伝統になっている。8時55分から15時20分までしっかり授業を受けると、放課後は部活の時間だ。部員数が多い昌平の場合は、5カテゴリーで活動している。校舎の真横にある人工芝グラウンドはラグビー部と共用しているため、全員が同時に練習できない。そのため、学校のある杉戸町のグラウンドも定期利用しながら、15時半からと17時半からなどと時間を分けて、それぞれのカテゴリーで練習を行う。
意識しているのは、「全部員平等」という考え方で、Aチームだけがグラウンドを独占することはない。ウェイトトレーニングや自習を終えてから、ピッチでボールを使ったトレーニングを行うなど、時間を上手く活用することで、全員が上手くなっていく仕組みこそが、昌平の強さの要因だ。取材に訪れた日は、3月に新しくなる人工芝の張替えの真っ最中だったが、限られたスペースの中でも、状況判断に拘ったトレーニングを行い、汗を流していた。「ボールを絶対に失わないこととボールを前に繋ぐことを意識している」と話すMF鎌田大夢を筆頭に、足元の技術が高い選手が多いのが印象的だったぞ!
2時間の練習を終えると、寮に戻り、19時から夕食の時間が始まる。取材日のメニューは豚カツとサラダ、切り昆布の煮物と塩サバとみそ汁の6種類。育ち盛りの選手に栄養をしっかり摂って欲しいという寮母さんの考えがメニューに反映されているのが特徴で、みそ汁は常に具沢山。ビタミンが豊富に摂れる煮物は寮母さんの一押しのメニューだ。ご飯はお替り自由で、鎌田は「身体を大きくするために、なるべくご飯をお替りするようにしている」という。
食後は大浴場での入浴と洗濯を終えると、21時半に点呼を実施。23時までの空き時間は自由時間で勉強をしたり、それぞれの部屋に集まって、リラックスした時間を過ごす。一時期はサッカー部員の間で、人狼ゲームが流行っていたという。「トレーニングルームで体幹を鍛えている」という大瀧のように身体造りに対する意識が高い選手が多いのもチームの特徴。部活が盛んな学校であるため、他部活などの影響を受け、プロテインを摂取する選手が少なくない。コンディショニングの意識も他チームに比べて高く、オフの日は整骨院に行って、身体のメンテナンスをするのが定番だという。また、スポーツで活躍するために重要なアミノ酸が摂れる「アミノバイタル® プロ」も試合に欠かせない必需品となっており、鎌田は「飲みやすくて味も美味しい。高校で飲むようになってから、試合の終盤や連戦でも頑張れるようになった」と話していたぞ。
昌平の1日に密着した結果、サッカーと学生生活に必死に取り組む選手の真剣さと充実したトレーニング内容が強さの秘訣だと分かった。「必ず県の大会で5冠して、全国大会でも優勝したい」(鎌田)という目標を達成できるか、今年も昌平に注目だ。