ゴールデンウィークが開けると、徐々に気温が上がり、暑い夏がやってくる。炎天下で効果的なプレーをするためには、練習や試合に向けたコンディショニングが不可欠だ。はたして、どのように体調を管理することが、上達に向けて効果的なのだろうか? U-19日本代表のコンディショニングコーチを務める、流通経済大学の小粥智浩(おがい・ともひろ)さんに話を訊いた。

夏休みになると、部活動やクラブ活動の時間が長くなる。結果として、通常よりもトレーニングの量が増えることになる。当たり前のことだが、通常よりもトレーニングの量が多ければ、身体の疲労も大きい。そこで、普段と同じリカバリー(睡眠や休憩時間、食事の量)では、十分に疲労が回復しないことがある。小粥さんは言う。

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「わかりやすく言うと、普段より2倍のトレーニングをするのであれば、リカバリーも2倍する。そのような意識を持ってもらえたらと思います。トレーニングの量に対して、疲労回復が間に合わないと、ケガに繋がる可能性もあります。さらにパフォーマンスも低下してしまうかもしれません。暑さや疲労で食欲がないこともあるかと思いますが、食べることもトレーニングと考えて、積極的に食事を摂るようにしましょう」

リカバリーのために、どのような食事を、どのタイミングで摂取すればいいのだろう?

「科学的に、運動後30分以内に炭水化物とタンパク質を摂ると、疲労回復に効果があることが証明されています。たとえばツナや鮭のおにぎりを食べたり、オレンジジュースや牛乳を飲むだけでも良いと思います。実体験として、暑くても食事をしっかりと摂ることができる選手は、連戦でもタフな印象があります」

ルーティーンとして、練習後にリカバリートレーニングをしてから、軽食をとるのも良いだろう。ジョギングをしてストレッチをして、体を落ち着けてからおにぎりを食べる。激しい運動後、すぐに食べることはできない場合はオレンジジュースだけでも飲む。そして家や宿舎に戻ったあとしっかり食事をとり、食事以外の回復のことも気にかけて過ごしたいところだ。

「夏の暑い時期には、練習後、プールなどでリカバリーをすることも良いでしょう。熱中症予防にもなります。また、クールダウンでストレッチをするときも、なんとなくやらずに、毎回同じメニューを行い「今日はここが張っているな」とセルフチェックできるようになると、ケガのリスクを減らすことができます。気になるところをアイシングするのも重要です。テニスボールを使って、自分で筋肉をマッサージするのもいいですよね。テニスボールをふくらはぎに当ててコロコロしたり、ストレッチポールを使って筋膜リリースをしたり、グリッドローラーなどを使うのもいいと思います。」

「自分で自分の体をチェックして、張りがあるなと感じたら、家に帰ってその周囲をストレッチする、テニスボールなどを使ってマッサージをするといったように、セルフチェック、セルフコンディショニングができる選手が、長い目で見ると伸びていくと思います。体に痛みを抱えた状態で練習に参加しても、十分なトレーニング効果は期待できません。まずは、良い状態でトレーニングに参加することを第一に考えましょう」

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これから夏のトレーニング期に向けて、いかに日々、良い状態でグラウンドに立てるかどうかが、レベルアップを左右する。練習後のケアやリカバリーに目を向けて、栄養と睡眠、休息をしっかりととることを意識しよう。最後に、小粥さんがヤンサカ読者に向けて、アドバイスをくれた。

「コンディショニングとは、体の状態や体調をより良くしていくことを言います。とくにアスリートは運動と栄養、休養のバランスを整えていくことが大切です。中高生は身体を鍛えたいとなると、トレーニングのみに焦点がいきがちです。しかし、トレーニングをすると疲労するので、そこに栄養を与えることで身体が回復して大きくなります。また、そこに十分な睡眠が加わると、より効率的に回復することができます。このサイクルを意識して過ごすことが、レベルアップにつながるのだと思います」