自分の持っているポテンシャルを最大限引き出し、最高のプレーをするために大切なのが「コンディション調整」だ。多くのプロサッカー選手が食事に気を使い、チームのトレーニングとは別に筋トレなどの個別トレーニングに取り組むのも、コンディションを整えて、試合で最高のパフォーマンスを発揮するためにほかならない。
近年、高校年代においてもコンディションに力を入れるチームが増えてきた。静岡県の名門、静岡県立藤枝東高等学校(以下、藤枝東)もそのひとつだ。選手のデータをスマートフォンで管理できるアプリ『CLIMB DB』を導入し、日々の食事や睡眠、体重やトレーニング内容等を記録している。はたして、藤枝東の選手はコンディショニングアプリを活用することで、どのような効果を感じているのだろう? チームの主力選手3人に話を聞いた。
【3年DF 岩田寛生】
■CLIMB DBには、どのようなことを記録していますか?
岩田:おもに練習の内容や雰囲気、体重や食事の内容を記入しています。
■使って役に立っている機能は?
岩田:練習の内容について書き込む項目があるのですが、そこで一日の練習を振り返ることができるので、すごく役に立っています。
■CLIMB DBを使うことで、チームにどのような影響がありますか?
岩田:全員がどういう態度で練習に参加したかを振り返ることができるので、それがチームに良い影響を及ぼしていると思います。個人的には、練習や試合について振り返ることができるので、それを活かして次につなげることを心がけています。
【3年DF 村松正規】
■CLIMB DBには、どのようなことを記録していますか?
村松:日々の食事の内容や睡眠時間、練習時間、練習意欲などを記入しています。食事を記録することで、自分が何を摂取しているのかを意識できるのでいいと思います。ご飯の量は、お茶碗何杯食べた等を記入したり、野菜や乳製品などもバランスよくとるようにしています。睡眠も、短くならないように気をつけています。
■CLIMB DBを使うことで、どのようなメリットがありますか?
村松:普段、自分では意識できないことも、アプリを使うことで意識することができます。練習前後に体重を測定して記入することで、練習でどのぐらい体重が減って、それを補うためにどれぐらい食べればいいかということも意識しています。個人的にはもっと体重増やして、戦える体にして全国に出て優勝したいです。
【2年FW 曾根大和】
■CLIMB DBには、どのようなことを記録していますか?
曾根:食事のメニューや練習後の疲労、体重等を記入しています。過去に記入したものも遡って見ることができるので、体重に変化があるときは「もっとご飯を食べよう」というように活用しています。また、睡眠時間が偏っているとプレーにも影響が出るので、そこも自分で意識して確認できるのでいいと思います。
■CLIMB DBを使う前と後では、サッカーに対する取り組みは変わりましたか?
曾根:食事の内容や体重の増減を意識するようになりました。チームメイトも、一人ひとりが食事に対して心がけていると思います。アプリの中に自主トレについて書くところがあるので、自主トレに積極的に取り組んで、監督にアピールしてる人思います。
■このアプリを自分の成長にどう役立てていきたいですか?
曾根:いま自分はコンディションを気にかけてやっているので、これからもアプリを使って体調と向き合って、サッカーのプレーに生かしていきたいです。目標は全国大会で優勝することなので、日々の生活からしっかりやっていきたいです。
【取材後記】
普段、何気なく生活していると見すごしがちだが、アプリなどを使って記録していくことで、自分の行動を振り返り、客観的に見ることができる。それは成長過程にある育成年代の選手にとって、重要なことだろう。日々、どれだけ日常に流されずに、意識的に過ごすことができるか――。藤枝東の選手たちは、アプリを「自分と向き合うためのツール」にすることで、日々のサッカーや勉強に役立てているようだ。静岡県は高校サッカーの激戦区だが、目標である全国大会優勝をめざしてがんばってほしい。