帝京高校在学中にドイツのクラブのテストを受け、見事SVザントハウゼンU19への加入が決まった、高校3年生の冨澤玲太郎くん。はたして2週間に及ぶ入団テスト経て、自身のサッカー観はどのように変わったのだろうか?「海外でサッカーをしたい!」と思っているサッカー少年はぜひ参考にしてほしい。

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前回の記事では冨澤くんがドイツに渡り、ザンクトハウゼンU19の入団テストに合格するまでを紹介したが、すべてが順風満帆に行ったわけではなかった。ドイツで練習参加するにあたって、最初にぶつかったのが言葉の壁だ。

「最初はドイツ語がまったくわかりませんでした。これがキツかったですね。練習中にチームメイトが言いたいことも理解できないですし、自分の言いたいことも伝えられません。そのため、最初はパスも回って来ないので、難しい状況が続きました

サッカーはコミュニケーションスポーツである以上、言葉での意思疎通は不可欠。冨澤くんは「海外でプレーしたいのだったら、絶対にその国の言葉を勉強しておくべき」と語り、テストを受けて日本に一時帰国した際は、テレビでドイツ語講座を見るなどして、語学習得に励んだという。

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「ドイツに渡った当初は言葉がまったくわからなかったので、恥ずかしがらずに日本語で試合中に声を出して、自分の存在を仲間に伝えていった」という冨澤くん。アシストやゴールという目に見える結果を出すことで、徐々に周りにも認められていく。

国が変われば、サッカーのスタイルも変わる。ドイツと日本の違いはどのあたりにあるのだろう? 冨澤くんは「体格の差とフィジカルは圧倒的に違いますね」と語る。

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「最初に練習参加したときに、みんな190cmぐらいあって、これが19歳の体格かと焦りました。いまでもゴール前での競り合い、空中戦では勝てる気がしません。試合中、ボールコントロールを少しでもミスすると、足ごと持っていかれる激しさもあります。技術は日本人の方があると思いますが、ボールを止めて蹴る力、球際の激しさやゴール前で身体をぶつけるところはドイツの方が上ですね。日本は試合も練習も同じようにプレーしますが、ドイツ人は試合になると人が変わったように激しくなります。それと、下部リーグでもサポーターの歓声がすごくて、びっくりしました。これが本場のサッカーなんだと。刺激的でしたね」

冨澤くんはこれから、ドイツの厳しい環境の中で戦っていかなくてはいけない。「いまのままでは足りない部分が多い」と考えている日本人アタッカーは、自分の課題をどう捉えているのだろうか。

「言葉を早く覚えることが大切で、ドイツでは語学学校に通います。それと平行して、体づくりもしないといけないと思っています。テストに合格してからドイツに渡るまで、1ヶ月あったのですが、とにかく筋トレをしてご飯をたくさん食べるようにしていました。あとは、なんといっても結果を残すこと。自分は攻撃的な選手なので、ゴールを1つでも多く決めたいと思っています」

課題を口にする冨澤くんだが、自分のプレーが通用したという自負もある。

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「ボールコントロールや、トラップで相手の逆を突いて外す動き、相手をいなすプレーは通用しました。ドイツ人はみんな身体が大きいので、ボールを持ってから次のプレーを考えていると、すぐに潰されてしまいます。そのため、ボールが来る前に相手と味方がどこにいるかを見ておいて、素早く判断しないといけません。これからドイツで戦うために、プレーと判断のスピードをもっと高めていきたいと思っています」

冨澤くんは中学時代、「高校を卒業したらプロになるか、海外でサッカーをするか。どちらかしかない」と決意し、実際にドイツに渡ってチャンスをつかんだ。夢をかなえるためには、適切なリサーチ(準備)と実行する勇気の両方が必要だ。海外でプレーしたい! という夢を持つヤンサカ読者は、冨澤くんの例を参考にし、夢を現実にするためにできることを考え、具体的なアクションを起こしてみてはいかがだろうか。

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冨澤玲太郎
生年月日:1998年12月26日
身長/体重:177㎝ 72キロ
ポジション:MF 利き足:右利き
得意なプレー:ドリブルからのパス
小学校:保谷東サッカー少年団
中学校:FCトッカーノ クラブユース関東 高円宮杯関東
高校:帝京高校サッカー部