「いつかは海外でプロになりたい!」そう思うヤンサカ読者はたくさんいることだろう。自分から行動を起こすことで、道を切り開いた高校生がいる。それが、帝京高校3年生の冨澤玲太郎くんだ。「海外でサッカーがしたい気持ちが抑えきれなくなった」という冨澤くんは、高3の夏にドイツに渡り、現地のU19チームに加入。充実した日々を過ごしている。3ヶ月のチャレンジを終え、中間テストを受けるために一時帰国した冨澤くんに話を訊いた。(インタビュー・文 鈴木智之)

――前回はドイツに行く直前にインタビューをしました。あれから3ヶ月、ドイツでの生活はいかがですか?

サッカーも生活の面も、だいぶ慣れてきました。ただ、毎日ドイツ語の学校に通っているので、勉強は大変です。宿題もたくさんありますし、寮に住んでいるのですが、食事の支度、洗濯もすべて自分でやらなければいけません。日本にいるときは母親に任せっきりだったので、親のありがたみを痛感しています。

――ドイツではどのクラブでプレーしているのですか?

最初に入ったのはザントハウゼンのU19チームで、いまはレンタル移籍をして、ネッカーエルツというハイデルベルグにある、3部のクラブのU19とU23の両方でプレーしています。

――練習は毎日あるのですか?

平日は3回練習があって、週末に試合というスケジュールです。練習場まで電車で50分かけて通っています。練習場までは少し遠いですが、自分が住んでいるハイデルベルグは都会なので、生活する上で支障はありません。

――ドイツではどのような生活を?

住んでいるところは語学学校の寮で、まず朝起きてご飯を作って食べて、学校に行きます。授業は朝の9時から午後2時半までで、それが終わって家に戻り、練習があるときは準備をしてグラウンドに行きます。

――自炊はどういうメニューを?

炊飯器を持っていったので、お米を炊いて肉じゃがや煮物などを、インターネットで調べながら作っています。お肉を焼いたり、パスタやオムライスなど、簡単なものばかりですけどね。ドイツに来た当初は外食が多かったのですが、今は毎日自炊をしています。日本にいた時はやったことがなかったので、結構大変です(笑)。でも、自分で作らないと、誰かが作ってくれるわけでもないので、大変ですがなんとかやっています。

――3ヶ月経って、語学面の成長はどうですか? 前回のインタビューでは「言葉がすごく大切」だと言っていましたが。

毎日、気合い入れて勉強しています(笑)。おかげで、ある程度ドイツ語でコミュニケーションが取れるようになりました。語学学校は宿題が多いので、家でも勉強しています。チームメイトとはドイツ語で話しながら、わからない時は英語の単語を使ったり。監督の指示はドイツ語なのですが、早くてわからないことの方が多いです。そういう時は、周りの動きを注意深く見て、理解してから動くようにしています。ただ、ある程度の単語は聞き取れるようになってきたので、ドイツに来た当初よりはだいぶ理解できるようになってきました。

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――ドイツ人とコミュニケーションをとる上で、気をつけていることは?

最初のうちは、自分から話しかけないと喋りかけてくれないので、積極的に話しかけました。僕らのチームは練習前にボールやビブスを自分たちで準備するのですが、「これはどこに置くの?」とか、些細な事でも積極的に聞くようにしています。試合で得点やアシストを決めると、認めてくれたのか、自然と名前を呼んでもらえるようになり、いまはみんなと普通に喋っています。

――今は上のカテゴリーであるU23でもプレーしているそうですが、試合をしてみてどのような感想をお持ちですか?

とにかく、ドイツ人は身体がデカいです。U23ともなると、プロ並みの選手がたくさんいます。最初、U19の試合に出たときも感じたのですが、U23はさらに上のレベルでした。先日、自分のマークに付いた選手は2mぐらいありましたし、後ろから思いっきり削ってくるので恐ろしかったです。ちょうどその試合の前に、首位のチーム相手にハットトリックをしたんですね。ドイツではインターネットに結果が出るので、それを見たらしくてずっとマンツーマンで付いてきました。

――体が大きい相手とマッチアップするときは、どういう動きを意識していますか?

まずは相手の背後をとること。ドイツ人はボールウォッチャーになるところがあるので、マークを外すことを考えています。相手は身体は大きいですが、足元はそんなにうまくないので、少しいなせばシュートまで持ち込むことができます。実は、日本では身体をぶつけられても、それほど苦労することはなかったんですね。筋トレも好きでやっていましたから。でも、ドイツ人とぶつかるとほとんど勝てません。体の大きさも、ふとももの太さも一回り二回りも違います。なので、彼らに負けないように、日々筋トレをして食事をたくさん摂るようにしています。

――日本にいたときよりも、考えてプレーしなければいけない場面が多い?

はい。正直、日本では球際の競り合いなどはやれてしまう部分があったのですが、ドイツの場合は体ごとぶつかって来ますし、くるぶしやすね、膝などをめがけてタックルが飛んで来ます。とくに自分はFWなので、相手のチェックはかなり激しいです。トラップをするときのボールの置所ひとつにしても、考えてプレーしないと取られてしまいますし、最悪の場合はケガにもつながります。考えてプレーする部分やフィジカル面、もちろんテクニックも含めて、成長につながっている実感はありますね。

ドイツに渡ってわずか3ヶ月だが、多くの経験をし、着実に成長しているようだ。心なしか、3ヶ月前に比べて顔つきがシャープになり、たくましさを増したような気がする。「可愛い子には旅をさせよ」という言葉があるが、異国の地でひとり生活し、自分と、サッカーと向き合うことで、日本ではできない経験を積んでいるのが伝わってきた。次回のインタビュー後編もお楽しみに!

後編:ドイツの同世代選手との一番の違いを感じるのは、やっぱりあの場面>>

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冨澤玲太郎
生年月日:1998年12月26日
身長/体重:177㎝ 72キロ
ポジション:MF 利き足:右利き
得意なプレー:ドリブルからのパス
小学校:保谷東サッカー少年団
中学校:FCトッカーノ クラブユース関東 高円宮杯関東
高校:帝京高校サッカー部