長い距離を走り、正確なボールを蹴る。これはどのポジションにも必要なプレーだ。FWであれば、後方からのスルーパスに抜け出して、ゴール前でシュートを打つ。MFであれば、2列目からの飛び出しでゴールに迫る。サイドバックの場合はオーバーラップからのクロスやシュートなど、長い距離を走り、ボールを蹴る場面はたくさんある。

このプレーを成功させるためには、どのようなトレーニングが必要なのだろう? 今回はヴァンフォーレ甲府のフィジカル・コンディショニングコーチの谷真一郎さんに「ダッシュの後に、鋭く、正確なボールを蹴ることができる」選手になるために、簡単にできる筋力トレーニングを教えてもらった。

<谷さんからのアドバイス>
「スペースにボールが出て、追いついて、ボールを蹴るという一連のプレーをするときに大切なのが、力まないことです。身体に力が入ってしまうと、身体を正確に速く動かすことができず、イメージ通りにボールを蹴ることができなくなります。速く、正確なボールを蹴るときは『お腹のひねり』と『足のしなり』を使うのですが、身体に力が入り、力んでしまうとひねる動作、しなる動作がスムーズにできなくなり、足のスイングスピードが落ちるので気をつけましょう。身体をひねり、しならせて蹴るために必要なのが腹斜筋(おへその周囲にある筋肉)です。足の先端のスピードを上げて、力まずに振り抜くイメージでボールを蹴りましょう」

<エクササイズの方法>
ひねりの中心となる腹斜筋を鍛えるトレーニングです。
1:2人1組になり、メディシンボールを使います。
2:パートナーにボールを持ってもらい、トレーニングする側の選手は座ります。
3:上体を起こして座り、ひざを曲げて、地面から浮かせます。
4:その状態でパートナーにボールを投げてもらい、両手でキャッチ。反対方向にひねり、力を入れて投げ返します。
5:10回程度繰り返します。

<ポイント>
身体に力を入れるのは、ボールをキャッチしてひねり、投げ返すときだけ。ボールをおへそから一番遠いところまで持っていくように上体をひねり、投げ返す瞬間に力を入れよう。腕の力だけを使って投げ返したり、上体に力が入ってしまうと、動きが小さくなる。腹斜筋のトレーニング効果が薄れてしまうので、気をつけよう。