中村憲剛選手の母校としても有名な東久留米総合高校。中村憲剛選手が高校時代に"ナイショ"で行っていた自主トレを、今の選手たちも行っているようだ。果たしてその"ナイショ"の自主トレとはどういう練習なのか!?(取材・企画構成 MCタツ)
■選手紹介
■下川晴
■ポジション:ボランチとサイドハーフ
■学年:2年
■身長166センチ
■古川正悟
■ポジション:CB
■学年:2年
■身長/体重:181センチ/66キロ
タツ:今日やっていた自主トレの内容を教えてくれる?
古川:うちは部活が終わった後、夜間の定時制があるのですぐ帰らなきゃいけないんですが、OBの中村憲剛選手が内緒で残ってやっていた基礎の練習です。内容は二人でやるパス交換。中村憲剛選手ともう一人の選手が、二人でずっとやっていたそうです。
タツ:具体的にはどういうメニューなのかな?
下川:4箇所にマーカーを置いて4種類のパス交換をやります。まず右足でコントロールして右足で蹴る。次に左足でコントロールして左足で蹴る。そして右足から左足で蹴る、左足から右足で蹴るの4種類です。これを各種類30本連続で行います。もしどちらかが一度でも失敗した場合はもう一度イチからやりなおしです。
タツ:え?イチからやりなおすの!?
古川:失敗した種類をイチからやり直します。30本目で失敗しちゃうこともよくありますね。
下川:30本続けることが大変なんですよね。
タツ:それは30本目の時に大きなプレッシャーがかかりますよね。普段からプレッシャーを経験するという意味でも良い練習ですね。
古川:うまくなっても集中力を欠いてしまったらミスは出ます。試合中に疲れてもミスをしないようにするため、集中を保つことを意識してこの練習に取り組んでいます。
下川:僕はボランチをやることが多いんですが、90分間ずっとパスを正確に通し続けないとチームのためにならないと思ってこの練習に取り組んでいます。試合の最後の最後でも『このパスを通せば点を取れる!』という時に、最後まで集中力を保って、そこで通せる精度があれば、そのパス一本で試合を決められることがあると思うので、この練習は集中力を切らさないように取り組んでいます。
古川:自分はまだまだミスが多くて......。センターバックとして、最終ラインの選手として当たり前のことを当たり前にできないといけない。ミスをしたら一発で得点に繋がるポジションなのでコツコツやっていくしかありません。
下川:斉藤先生は"止める蹴る"を本当に大事に指導しています。ただパスをするだけではなく、常にマーカーなどを置いて相手選手を意識したようなトレーニングにしています。それが積み重なっていけば試合中でも実践できるようになると思うので、この自主トレを続けています。
タツ:この練習は止める場所が非常に大事だよね。
古川:ボールを止める場所が遠くになり過ぎてしまったら、自分たちが通したいコースにボールを通せなくなってしまうので、止める場所を意識してやっています。また、この練習は調子の良い悪いが出ますね。今日はあまり調子がよくありませんでした。いつも朝練で最初にこれをやった後に、ボールを蹴る予定なのですが、調子が悪くてこれが終わらないまま朝練が終わってしまうこともあります。
タツ:他には何か自主トレのメニューはある?
古川:二人でやる自主トレはこれだけですね。後は個別の自主トレをやります。放課後は定時制があってすぐ帰らなきゃいけないので、毎朝この自主トレをやっています。
■取材後の感想
この自主トレは簡単なように見えますが、30本連続でミスなしにやるのは結構大変です。実際自分と編集部の人間でやってみたところ5本も連続では続きませんでした......。自主トレとなるといわゆるクローズドプレーに偏ってしまいがちですが、かなり実戦向きの練習になっています。マーカーを置くことでパスを止める場所は常に相手選手を意識します。
加えて、自分が次にパスを出したい方向へ蹴りやすい場所に止めることで実践のようなプレーの連続性もあります。また、30本連続で成功させなければ0からやり直しというのがいいですね。本数が増えていくたびにミスできないというプレッシャーが増すので精神的負荷もかけられます。本数が増えれば当然疲労も増してくるので、より高い集中力が求められます。二人でやることで「相手のためにもミスはできない」という気持ちにもなれるので、チームプレーの意識を高めるためにも有効的じゃないでしょうか。
この自主トレ、単なるパス交換に見えて、沢山のことを鍛えられるので本当におすすめだ!