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コンセプトは「走る、戦う+技術」U-15からトップまで貫かれている一本道

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■U-23でJ3を戦う意味
今季から新たにC大阪U-23が発足し、J3も戦うC大阪。C大阪U-18の9選手が2種登録し、上のカテゴリーで戦う可能性も生まれたアカデミーにとっても、変革の年となる。その中で、グルージャ盛岡とのJ3開幕戦では、早速、新高校3年生の斧澤隼輝と森下怜哉の2人が先発として出場機会を掴んだ。2-0と勝利したチームの中にあって、2人は臆することなく堂々としたプレーを見せた。もちろん体格的に劣ることで、競り合いの場面など、足りない部分が見られたことも事実だが、基本的な技術がしっかりしているため、追い込まれても慌てないプレーが目に付いた。

試合後は大熊裕司C大阪U-23監督も、「2人に関しては、十分にU-23でもやれる力があると判断して使った。2人ともよくやってくれたと思う。これを継続していけば、より力も伸びて、トップ昇格できるような選手に近付いて行ける」と斧澤と森下に合格点を与えた。

カテゴリーが上がった中での試合を経験した2人は、充実感と共に目を輝かせた。「初めてプロの舞台で試合をして、緊張もあったけど、楽しかった。成長できる場所を設けてもらったと思っている。レベルも高いので、練習から本当にいい経験になる」(斧澤)。「観客が多い中での試合は雰囲気も違う。緊張もあったけど、楽しさの方が大きかった。上のレベルで経験することは、自分にとっても大きいと感じる」(森下)。

新設されたC大阪U-23のチームコンセプトの前提は、「選手個々がそれぞれに力を出し切ること」(大熊裕司監督)。試合ごとにメンバーも変わる中、一人ひとりが力を出し切り、戦い抜くことで、トップチームへ上がるためには何が必要か。感じて、学ぶこと。それが大事になる。高校3年生の2人がプロの舞台でつかんだ経験と課題は、必ずや今後につながる。

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■体が疲れてきた中でも精度を落とさない技術
C大阪U-23の練習は厳しい。午前、午後の2部練習では、午前は、タイムを決めた中でのシャトルランで体をいじめ抜いた後、ゲーム形式へと移行する。「体が疲れてきた中でも精度を落とさない技術を培うこと」(大熊裕司監督)を目指している。

パス回しとミニゲームが行われた午後練習では、狭いスペースの中では、「ボールをもらうアングルをしっかり取る」(大熊裕司監督)ことを意識させ、距離が広がったゲームの中では、「奪ったあとは素早く前に出て行く」ことが求められた。「走る、戦うといったフィジカルをベースにした中で、しっかりと技術を発揮していくことが大事」との持論を持つ大熊裕司監督。「世界的に見ても、そういう傾向になっている」と話す。それは、U-18の練習で貫かれていた哲学とも重なる。技術的に高い斧澤らにとって、一つ上での環境でフィジカルでも揉まれていくことで、選手としての成長速度は上がっていくだろう。

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■選手それぞれの成長に応じた場所を提供
もっとも、何でもかんでも上のカテゴリーに上げていいかと言えば、そうではない。選手それぞれの成長に応じた場所を提供するのがC大阪の指針でもある。3月には、今季、C大阪U-15からC大阪U-18に昇格してきた新高校1年生である瀬古歩夢のU-23昇格が取り沙汰されたこともあったが、トップチームを率いる大熊清監督は冷静だ。「やれる選手はどんどん上のカテゴリーでやることはいいこと。ただし、体が出来ていない内に厳しい試合をやることがいいことかどうか。考える必要はある。素材がいいからといって、すぐに上でやらせるのが本当にいいのか。時期早尚にはならないか。そういうことも同時に考えないといけない。(上のカテゴリーに引き上げる)タイミングはしっかりと見計らっていきたい」と語り、体やメンタルの負担も含め、上の舞台に引き上げるタイミングの重要性も話していた。

U-15からトップチームまで貫かれている一本の道。今季のC大阪はサッカークラブとして理想的な環境にある。U-18で成長した選手はU-23へ。U-23で成長した選手はトップチームへ。それぞれの立場で選手が伸びることで、カテゴリーを上げることができ、さらなる成長へとつなげていく。新たな取り組みが始まったC大阪のアカデミーはこれからも注目だ。(小田 尚史)

取材・記事/エル・ゴラッソC大阪担当 小田尚史
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