<質問>

サッカー的な判断力を養えるランニングやダッシュのメニューがあったら教えてほしいです。 毎日の部活後、100%で走るメニューがありそのせいでサッカーへのモチベーションがあがりません。


<回答>

まず「100%の走り」という言葉には二つの考え方があります。一つ目は、「全身の力を振り絞って全力で走る」、もう一つは「自分が出せる最高のスピードで走る」。どっちの考えで取り組んでいますか?もし、全力での走りをしていたとしたら、それは苦痛でしょう。全力で走ると力みが生じてスピードが落ちてしまいます。一生懸命走っていても無駄な力を使って遅くなってしまうのは苦痛です。更に全力での走りは視野も奪われてしまうので、サッカー的な判断力をも狭めてしまいます。良いことなしです。

後者の「自分が出せる最高のスピード」は、感覚的には70〜90%の間にあります。この感覚は個人差があるので、自分で見つけなければなりません。練習最後のメニューを、この感覚を探り、身体に染み込ませていくトレーニングの時間と捉えてみてはどうでしょう。また、この感覚で走れるようになってくると視野も広がってきます。まさに、サッカー的な基本的な走りの部分を養える要素のトレーニングとも言えます。私もタイミングを見計らって基本的な効率の良い走りを求めたトレーニングは行っています。大切なことは、何を目的としてトレーニングに取り組むかということ。それぞれのトレーニングに対してポジティブに取り組んでいくことが今後の伸び代を左右します。

効果的な走りをベースにした、サッカー的な判断力を養えるランニングやダッシュの具体的なメニューとして、短い距離のスプリント能力を上げたい場合は、クロスからのシュートのトレーニングでタイミング良く一瞬で相手を振り切ってゴールに向かう。守備の局面でボールの移動中にできるだけ速く相手に近づき相手の自由を奪う。少し長めの距離の能力を上げたい場合は、自陣からのカウンターのトレーニングで、どこのスペースに走り込んで行くのかを判断した上でスプリントしていく。中盤でボールを保持した状態から縦パスを合図に一気に攻撃のスピードを上げる。コンビネーションからDFラインの裏に一気に抜け出して行く等々。

いずれの場合も、どの局面でスプリントを活かしていくのかという逆算的な思考のもとにメニューに取り組んでいくことが実戦で効果的にスプリントできるようになる近道です。力みをなくした視野の広い効果的なスプリントを身につけて、局面を有利に展開できた時にはサッカー的な充実感を味わえますよ!どんなトレーニングにも良い面と悪い面があります。今、モチベーションを下げているトレーニングも、考え方の違いで有効な時間に変わります!