<質問>

怪我明けから、高いパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいですか?怪我中の心構えなどアドバイスお願いします。


<回答>

サッカー選手にとって最も辛いのは、怪我でプレー出来なくなること。しかし、怪我のリスクを伴うのもサッカー。防げる怪我と防げない怪我がありますが、防げる怪我に対しては対応していきたいものです。私が、怪我をしてしまった選手によく言うことは『怪我には意味がある。それを考えよう!』と。怪我に至るケースには幾つかの要素が考えられます。トレーニングの量や質、その準備段階やケアのレベル、食事の内容、睡眠時間、体重管理、トレーニングに対する集中力、動きの質、リスクの高いプレー、等々様々です。まずは、『何故、怪我をしてしまったのか?』その原因をはっきりとさせておく必要があります。この作業を怠ると、再発や新たな怪我に繋がってしまうばかりではなく、怪我から学ぶことが出来なくなってしまうからです。多くの事例がありますが、その中から3つほど紹介したいと思います。


【足の第五中足骨を骨折】

その選手の動きを紐解いていくと、スタンスが狭く、拇指球に乗れていない状態で、構えたり方向変換をしたりしていました。この状態は、第五中足骨に負担をかけてしまうばかりではなく、素早い方向変換も出来ません。この怪我をきっかけにリハビリで動きを修正し、復帰します。そうすることにより、怪我をする前よりパフォーマンスは良くなりました。


【右足首を捻挫】

その後、動きの中では痛みを感じなくなったけれども、キック時には強い痛みが出てしまう状態でチームのトレーニングに合流。キックは左足でプレー。しばらくすると、以前よりも左足のキックの精度が上がってきていることに気付きます。


【ハムストリングを肉離れ】

多少の違和感があっても、無理をしてプレーした末の結果です。多少の違和感くらいでは練習を休めなかったようです。また、離脱した後も、筋力が回復する前に復帰して再発。その選手に対しては、ハムストリングの機能向上のトレーニングを日課とし、危ない違和感が出た時には、勇気を持ってしっかりと伝えて、トレーニングをコントロールする、ことを共通理解としました。その結果、その後は肉離れには至らず、プレーし続けることが出来ました。


他にも幾つかありますが、どのケースも『怪我の功名』を得られるということです。怪我をすることによって気付かされたことを、その後に活かしていくのです。この考え方のもとにリハビリ期間を過ごせると、怪我をする前よりもパフォーマンスのレベルが上がりますよ!