<質問>

試合の運動量は多いほうがいいんですか?


<回答>

今年のJリーグでは、トラッキングシステムを採用し、試合の総走行距離とスプリント回数がわかるようになっています。ただ、総走行距離と勝敗の関係を見てみると、双方の間には相関関係は見られません。つまり、運動量が多いと勝てるとか、少ないから負けた、とういことは言えないのです。対戦相手との力関係や戦い方、ゲームの流れによって走行距離は変わってきます。つまり、大切なことは、運動量を比較することではなく、チームが目指した戦い方に対して、選手達が主体的に自らの意思を持って走れたのかどうかということです!意図しない局面で走らされても走行距離は増えますが、それは望むところではありません。例えば、相手陣内で不用意な横パスをカットされ、カウンターを受けて、その守備で何十メートルもダッシュして戻らなければならないといった局面などです。また、動くことによって、最終ラインにギャップを作ってしまったり、相手に侵入するスペースを与えてしまうなど、運動量を増やしてはいけない局面もあります。

試合の中で、チームとして走るべき局面で走れず、運動量が少なくなってしまった場合には、走行距離の少なさを改善していく必要があります。その分析過程で、走るべき局面が理解できているのかどうか。頭では理解しているけど、コンディションが悪くて走れなかったのかどうか。これらを見極めて、改善のトレーニングに繋げていくことが大切です。

単純な量の比較をするのではなく、求めるスタイルやクオリティから総走行距離やスプリントの回数を把握していく感覚が選手にも指導者にも求められます。