<質問>

試合のここぞというときに走りきれるためにはどんなトレーニングが有効ですか?


<回答>

『ここぞという時に走りきれる』ということは、『試合の終盤に大きなエネルギーを出せる、速い動きができる』ようになりたいということですね。

この状態を作り出すために必要なトレーニングの考え方を解説していきます。

まず、身体を動かすためにはエネルギーが必要で、そのエネルギーを出していくためには、運動強度(動くスピードと時間)によって3つのシステムが働きます。

ジョギングレベルの有酸素的な運動では脂肪を主に使い、乳酸で脚が張るような運動ではグリコーゲンを分解してエネルギーを得ます。そして、数秒の速い動きの時には筋肉の中にあるエネルギーを使います。

試合の80%以上はジョギングやウォーキングの有酸素的な運動です。そして、ここぞという時に必要なエネルギーはグリコーゲンや筋肉の中にあるエネルギーです。

有酸素的な能力が低いと、試合中のジョギングレベルでもグリコーゲンを使ってしまいます。そして、試合の終盤のここぞという時にグリコーゲンが足りなくなって動けなくなってしまいます。つまり、有酸素能力を上げることによって、脂肪を優先的に使えるようになり、グリコーゲンが節約できるようになります。そこで節約できたグリコーゲンを終盤のここぞという時に使えるようになるのです。

もう1つは、速い連続した動きに身体を慣らしていきます。速い動きを繰り返しトレーニングすることによって、乳酸に耐える能力が上がったり、筋肉内のエネルギーの回復時間が早くなったりするので、終盤でも動けるようになってきます。

有酸素的なトレーニングとは、軽く息が弾む程度の強度です。ボールを使った場合ですと、パス&コントロールとジョギングを組み合わせたり、人数が多く移動距離の少なめのボール・ポゼッションなどです。

ボールを使わない場合ですと、ウォーミングアップやクールダウンのジョギング、ジョギングとステップワークをゆったりと繰り返すようなトレーニングです。

強度の高いトレーニングとは、脚が張ったり、息が一気に上がるようなトレーニングです。ボールを使った場合ですと、人数の少ないポゼッションや1対1〜4対4などの対人トレーニングです。短いプレー時間と長めの休息時間で、大きなエネルギーを繰り返し出せるようにしていきます。

ボールを使わない場合ですと、サーキット形式のトレーニングなどです。

いずれも強度が高いので、運動時間や繰り返しの回数、休息時間、実施するタイミングには気をつけなければなりません。やり過ぎて怪我をしてしまったり、試合に疲れが残ってしまって動けなくなってしまうことは避けなければなりません。

これら2つを普段のトレーニングにうまく取り入れていくことによって、試合の終盤の『ここぞという時』に力を出せるようになってきますよ!