<質問>

試合の最後まで走りきれるようになるためには、どうしたらよいですか?


<回答>

持久力を高めるためには、2つのアプローチ方法があります。1つ目は、一般的な考え方でもある、心肺機能や筋肉の耐久性など、身体の持久的な能力に対してトレーニングをすること。

2つ目は、あまり普及していない考え方でもありますが、動きの効率を上げて持久力を高めていくというもの。つまり、求められる動きやスピードに対して、必要最小限のエネルギーで動いていくということです。

今回は2つ目の、効率の良い動きによって、エネルギーを節約し、持久力を高めていくということについて解説していきます。

具体的に良くある局面としては、スペースに出たボールを相手と競争してマイボールにしようとする時に、全力疾走で走ってしまう。全力疾走で走ると力みが生じてスピードは落ち、無駄なエネルギーも消費してしまいます。こういった状況で、力みを取り除き、自分が一番速く走れる出力感覚で走ることができれば、エネルギーを節約できるだけでなく、いつでも自分が出せる一番速いスピードで走り続けることができます。一番速く走れる出力感覚は、個人差がありますが、多くの場合、70%から90%のところにあります。それなのに、試合になると100%で走ってしまう。例えば、70%の感覚の時に最速で走れる選手が、100%で走ってしまうと、常に30%の力を無駄に消費していることになります。この積み重ねが試合での持久力を落としてしまうのです。まずは、自分の最速で走れる出力感覚を探る。そして、速さを求められる状況で、常にその感覚で動くことができるようにトレーニングしていくことによって、試合での持久力を高めていくことができます。

また、1対1の構えなども、重心を低くし過ぎると、ももの前に必要以上の力が必要になるだけでなく、全身に力みが生じ、次の動き出しも遅くなります。膝がつま先よりも前に出てしまうような構えではなく、肩と膝と拇指球が地面と垂直なラインにそろうくらいの構えをしてみてください。そして、その時のもも前の力の入り具合、次への動き出しやすさを比べてみてください。エネルギーを節約して速く動けることがよくわかると思います。

これらのことは、始めは意識して取り組む必要がありますが、それを繰り返していると、意識しなくても力みを排除して動けるようになってきます。また、この感覚で動けるようになってくると視野も広くなり、動きの心地良さも生まれてきます。トッププレーヤーで力んでいる選手はいません。是非、経済的な動きを身につけて、試合の最後まで走りきれる選手になってくださいね!