<質問>強いインサイドキックを蹴れるようにするためには足のどこをどのように鍛えればいいですか?

<回答>強いインサイドキックを蹴るためには、足の一部分を鍛えるのではなく、強いキックができる身体の使い方を身につけることが大切です。

旧教科書的なインサイドを押し出すようなキックをしてしまうと、太ももの内側の筋肉(内転筋)の力だけで蹴ることになってしまい、ボールにインパクトする時のスピードが上がらないだけでなく、このキックを繰り返しているとグローインペイン(恥骨周囲炎)のリスクも高まります。足の一部分の筋肉を使って蹴るのではなく、全身をムチのようにしならせて脚のスウィングのスピードを上げて、ボールを蹴る瞬間だけインサイドの面でインパクトすることにより、速く強いボールを蹴ることが出来るようになります。

インステップキックの時はそのような身体の使い方ができていることが多いのですが、インサイドキックの時よりも若干動きをコンパクトにして、同じ身体の使い方でボールにインパクトする部分を変えるだけで良いのです。押し出すようなキックから、全身をムチのようにしならせて蹴る蹴り方に変えてみてください。一気にボールのスピードが上がりますよ!

※難しい言葉は使わずに回答をしましたが、インサイド・キックのパス・スピードを上げるための身体の使い方は、筑波大学大学院の修士論文でも記されています。
1998年フランスワールドカップでの日本代表の課題の1つとして挙げられたインサイド・キックのパス・スピードの向上の課題。その被検者として世界的なキックの名手として知られたリトバルスキー氏(元ドイツ代表)、ストイチコフ氏(元ブルガリア代表)、両氏と日本代表選手のインサイドキックをバイオメカニクス的に分析した結果、日本代表選手は骨盤が固定され、脚の動きだけで蹴っているのに対して、キックの名手2人は、軸足の踏み込みから腰→膝→足首と速度が加速してボールにコンタクトしていることが明らかになりました。つまり、キックの名手両氏は、全身をうまくしならせて、脚の先端部分のスピードを上げて速いボールを蹴っていたということが証明されました。