<質問>サイドでの1対1のディフェンスが特に勝てません。フィジカルもスピードもない私がどうすればボールを奪えるようになるでしょうか?またフィジカル面ではどのようなトレーニングをおこなえばよいでしょうか?

<回答>サイドのエリアは真っ向勝負の1対1が多い局面。しかもタッチラインを背にしているので、アタッカーは縦に抜けるか、中に入っていくかの二者択一。シンプルなだけに奥が深い局面です。この局面の勝敗を左右する要素を順番に挙げていくと、まずは相手との距離を含めたポジショニング、そして構えと脚の運び、仕掛けられた後のコンタクトの仕方とコース取り、抜ききられる前のスライディング、と整理できます。

ポジショニングの立ち位置に関しては、チームの戦い方(外に追い出すのか、中に行かせるのか)やボールを持っている選手の特徴によっても異なりますが、間合いに関しては、遠いとパスも自由に出されてしまうし、仕掛けのスピードも上げられてしまいますので、極力相手の自由を奪い、横か後方へパスを出させるか、仕掛けてきても脚を出すか、ターンをして身体を入れ込める距離で対応することが求められます。

構えと脚の運びに関しては、特にサイドでは上半身の半身が強くなってしまいがちで、逆を取られた時に対応できないか、遅れてしまうシーンを多く目にします。上半身の半身が強くなると、逆を取られた時に脚を踏み替えて次の一歩を踏み出すのが難しくなるので、極力上半身は相手に両肩が見られるくらいまで半身を抑えて対応します。そうすると、逆を取られても、腰の捻りが生まれてスムーズに脚を踏み替えることができます。また、抜かれたくない気持ちが強くて、構えが低くなり過ぎてしまって、対応が遅れる局面も多く目にします。自分が1番動き出しやすい重心の高さと足の幅を身体に染み込ませることが必要です。

その後のコンタクトは大転子から、コース取りはボールに向かうのではなく、相手とボールの間のスペースを奪いにいく。多少不利な状況になっても、腕を差し込んで身体を入れていく。抜かれかけても、スライディングでボールにコンタクトして相手の自由を奪う。レベルの高い選手は、これらを相手に合わせたリアクションで行うのではなく、自分のプランで進めていってボールを奪っていきます。

体格もさほど良くなく、スピードがなかったとしても、勝敗を左右する要素が整理できて、それぞれの要素を向上させるためにトレーニングを行うことができれば、十分に勝負していけることを実感してくると思います。なぜなら体格やスピード以外の要素も多くあり、今回と同じ悩みを持っていた選手達が、変わっていくのを目の当たりにしてきたからです。是非、1対1の局面を整理して、トレーニングでトライを繰り返すことによって、自分の守備の感覚を研ぎ澄ましていってくださいね!