男子校で進学校。多くの高校生男子にとっては過酷とも思える環境かもしれません。今回、訪れたのは東京都で進学校としても知られる高輪高校サッカー部。監督の竹原康夫先生にお話を聞きました。(取材・企画構成 MCタツ)
――男子校の特徴、共学との指導の違いはありますか?
竹原:まず女の子相手だと教えるときも話すときも気を使います。男の子は、男同士なんで心が通じ合う部分もありますし、少し強い言葉を使ってもわかってくれるというのはありますよね。
――男同士ということで心の距離も近くなるんじゃないですか?
竹原:男子校の良さというのはありますよね。自分も男子校の久我山出身でした。生活しやすかったですね。
――具体的に言うとどんなところでしょうか?
竹原:女の子がいると気を使うじゃないですか。外見もそうだし、コミュニケーションの仕方も。でも男子校だと、髪の毛一つとっても、少しぐらいなら寝癖ついていても気にしないですし(笑)男子校は常にざっくばらんでいられる。誰と誰が付き合ったとか、そいう面倒くさい話はないですからね(笑)人間関係でもネチネチねじれたりしないです。男の子はケンカとか文句を言い合ったりというのはありますが、終わったあとは気持ちよくサッカー一緒にやれますからね。ですので人間関係が複雑になったりというのは男子校だとありませんよね。
――高輪高校は監督からみてどんなチームですか。
竹原:まず「スポーツマンらしく礼儀正しくしましょう」という指導をしています。荷物の整理や、挨拶など、きっちりやろうと言っています。子どもたちはみんなそれをちゃんとやろうと取り組んでくれています。部室もビシっとキレイにしてくれています。私が子どもたちに言っているのは「厳しい中に本当の楽しさがある」ということです。それは挨拶や荷物の整頓などきちっとしようよ、ということですね。
――進学校ですが、勉強との両立についてはどのようにお考えですか?
竹原:自分から勉強のことを言うことはあまりないですね。子どもたちが自らやっていますからね。子どもたちは先輩を見るんですよね。うちの生徒は大学の進学もいいので、彼らはそういう先輩たちをみて真似して、自ら勉強してくれますね。例えば今日も部活が終わったあとにこれから塾に行く子もいます。本当に部活との両立は大変だと思います。大変だけれども、大変な中でやる方が得られるものは大きいと、常に言っていますね。
――先ほど選手に取材したら多くの選手がこのあと塾に行くと言っていました。かなり大変ですよね。
竹原:本当に大変ですよ、家に帰ってご飯を食べるときは11時とかですからね。でも、それを今までの先輩たちもやってきたんですよね。先輩たちが部活を終わったあとに塾に行って勉強するという習慣を作ってきました。先輩たちがやってきたんだから、俺達もできるんだという気持ちでやっています。大学受験も先輩たちがうまくやってきたんだから、俺達もできると。本当に先輩たちが作り上げてきたものだと思います。学校の中でもサッカー部は少し違っていて、他のクラブよりもきちっとしています。他のクラブでは塾を優先したり、部活を休んだり、あるいは部活を辞めてしまったりというのはありますからね。サッカー部は部活もちゃんとやってくれていますね。
――昨年サッカー部で退部した生徒が一人もいないと聞きました。これは凄いことですよね。そして部活において一番大事なことかと思います。
竹原:辞めさせないようにしようと思ってもなかなかできることではないですよね。勉強だけ頑張ればいいという感じで部活を緩めてしまうと、そういうふうに流されてしまうものじゃないですか。部活は勝つことを目的としてやって、全国行くぞ!という思いを、緩めずにやっているのが、続く理由かもしれません。みんな上を目指しているんです。繰り返しになりますが、私が言うより先輩たちを見て、それを真似しているんですよね。今日も練習にはOBが手伝いに来てくれて、今いる子たちに自分たちの時のことを話してくれるんですよね。それが伝統というんですかね。
最後に、高輪高校サッカー部の選手に男子校サッカー部あるあるを聞いてみました(笑)
【男子校サッカー部あるある】
●丸岡由明くん
対戦相手に女子マネージャーがいると嫉妬します(笑)あと、男同士だと着替え中に体毛の濃さとかを比べたり、濃い人はいじられたりしますね。
●原田敦くん
男子校だと女子の目を気にせず着替えているので、他校に行ったときもその習慣がぬけずにうっかり外で裸になってしまう。
●西野公規くん
まずは対戦相手の女子マネチェック。試合会場に到着したら一番最初にしますね(笑)自然と「あの子かわいくない?」とか選手で話します。マネージャーいる学校に負けたくない気持ちはかなりあります。
●今川泰智くん
男子校サッカー部はチャラくない。堅実です。