■C大阪U-23が発足した今季は"変革の年"
過去には柿谷曜一朗や山口蛍、扇原貴宏に南野拓実など、日本代表まで登りつめた数々の優れた選手たちをトップチームへ輩出してきたC大阪U-18。2014年には高円宮杯チャンピオンシップで優勝も遂げるなど、近年は結果も残すとともに、毎年、トップチームへ選手を送り続けている。

そんなC大阪のアカデミーにとって、新たにC大阪U-23が発足してJ3を戦うことになった今季は変革の年でもある。昨季までC大阪U-18を率いていた大熊裕司監督がU-23で指揮を取ることになり、U-18の監督には、一昨季までC大阪U-18でコーチを務めていた村田一弘氏が就任した。

C大阪アカデミーの基本理念は、"世界に通用する選手を輩出すること"。それは大熊監督から村田監督になっても変わらない。選手に求めるプレーは、「ボールを奪う、球際で戦う、チャンスがあれば前に出ていく、ゴールを決める」と至ってシンプルだ。そのために、「体を作る、走る、ボールの持ち方を考える」など、フィジカルと個人戦術がバランス良くミックスされた指導が行われている。

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■大切なのは、判断と準備
新チームが発足して間もない3月のある日。C大阪U-18が練習している様子を取材した。まずは体をほぐすストレッチから始まり、ボールを使ったメニューへ移行する。4対2のパス回しから始まり、8対8のミニゲーム、10対10のハーフコートゲームへと続いていった。まだまだ村田監督と選手の顔合わせが始まったばかりとあって、チームとしての戦術的な要素よりも、個人戦術やベースとなる部分に主眼が置かれたメニューとなった。

2タッチまでと制限がかけられた中で行われた8対8のミニゲームで村田監督が強調していたのは、「判断と準備の大切さ」。ボールを受けた選手に対して、「ワンタッチ目でしっかりと次にボールを出せる位置に置くこと」を説き、ボールを受ける選手に対しても、「ボールを持った選手がトラップをしたときに、しっかりとパスコースに顔を出す」ことを要求した。一つひとつのプレーを漫然とこなすのではなく、「誰かが起こしたアクションに対して味方が反応し、常に考えながら良いポジションを取る意識」を植え付けている。「チャンスがあれば持ち出して前を見る」ことも要求しており、必ずしもダイレクトでないといけないわけでもない。「どこでどのようなプレーをするべきか、そこを突き詰めている」と村田監督は語る。さらには、「常にゴールを目指した中でのプレー」も要求していた。

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■J3とユースの往復。その経験値は大
ピッチが広がり、人数も増えた10対10では、より本番の試合に近い状態でのプレーが求められた。こちらも2タッチまでと制限された中、ゴールへ直結する意図を持ったプレーが随所で見られた。気になる場面があれば、村田監督は躊躇なく試合を止めて厳しい言葉を選手に投げかける。もちろん、いいプレーに対しては褒める。メリハリが利いた指導が印象的だった。練習を取材した翌日に行われた大阪の某高校との練習試合では、中盤で奪ったボールを素早くサイドに展開し、サイドで一人かわした選手がクロスを上げてヘディングでゴールが決める場面もあった。「ボールを持ったときの判断」と「ゴールへ直結する動き」が合わさった得点に、ベンチの村田監督にも笑顔が広がった。「練習でやっていたことを試合でもしっかり出せば、結果につながるだろう」と選手に言葉をかけていた姿も見られた。

また、今季はC大阪U-23の発足に伴い、C大阪U-18の選手が9人、2種登録された。そのため、飛び級でU-18の選手がU-23の練習に参加することも日常の光景となっている。例えば、週の前半はU-23の練習に参加し、後半にU-18に戻ってくるというケースもある。記者がU-18の練習を取材した日は、前日までU-23の練習に混ざっていた選手が2人戻ってきた日だったのだが、村田監督が2人に厳しい言葉を投げかける場面も目立った。

その意図について村田監督は、「今は(U-23のチームにけが人が出ている)事情もあり、(上のカテゴリーに)簡単に行けている。(トップチームは)近いだけど遠いんだよ、ということを分からせないといけない。勘違いさせないようにしないといけない」と語る。もちろん、「上のレベルのスピードに慣れることで、U-18に戻ってきた時に余裕を持ってプレーをすることにもつながる」というメリットもある。アカデミーからトップチームへと通じる一本の道。いまのC大阪にはサッカークラブとして理想的な幹が貫かれている。選手にとってはこの上ないモチベーションになるだろう。実際、2種登録されて、U-23とU-18を往復している上畑佑平士は、「U-23はスピードや球際が違う。技術の部分で負けないようにするとともに、フィジカルはいまの自分の課題なので、そこで経験したことをU-18でも生かしたい」と語る。

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4月から始まるプレミアリーグWESTに対して、「まずは残留が目標ですよ(笑)その中で、新たに始まっていくJ3の流れも見ながら、選手の行き来もあると思うので、一つでも上を目指します」と村田監督は語る。個々の力が一つ上のカテゴリーで鍛えられ、そこで得たモノをU-18にも還元する。新たな取り組みが始まったC大阪のアカデミーはこれからも注目だ。

取材・記事/エル・ゴラッソC大阪担当 小田尚史
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