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【京都サンガF.C. U-18】人間としての価値も高め、一人でも多くの人に応援される選手へ

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協調し合いながら競争する独自の育成モデルを確立

京都U-18の特色として挙げられるのが、2006年に始動した産・学・クラブが連携する「スカラーアスリートプロジェクト」だ。選手たちは、練習グラウンドに近接する立命館宇治高校で学校生活を送り、選手寮で寝食をともにし、切磋琢磨し合いながらサッカーに向き合う。恵まれた環境は遠隔地の有望な選手の受け入れにもつながっており、リオ五輪本戦やアジア予選での活躍が記憶に新しい原川力(川崎F)、久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)、久保と同じく若くして海外に飛び立った奥川雅也(FCリーフェリング/オーストリア)らを輩出。育成プロジェクトの成功例として注目を集めている。

チームを預かる森岡隆三監督が指導のポイントに挙げるのは、"個を伸ばす"こと。「一人でも多くの人に応援される選手になってほしい。選手としての価値はもちろん、人間としての価値も高めてあげたい」。その上で、「サッカーはチームスポーツ。協調し合いながら競争し合うことも大切」と強調する。その意味では申し分のない環境があると言える。選手たちは、「寮で気を抜いていると、ほかの選手が筋トレやランニングをしていたりする。そういうときは『自分もやらないと!』という気持ちになるんです」と口をそろえる。チームメートはよき仲間であり、よきライバル。グラウンドを離れても、刺激を与え合っている。

今季のプレミアリーグ WESTは、第9節を終えてわずかに1勝。残留争いを強いられる不本意なシーズンとなっている。クラブユース選手権では横浜FCユースとの接戦に敗れてラウンド16で敗退した。目標として設定できるタイトルは、10月に開幕するJユースカップを残すのみ。「勝負事の難しさや重みは、学年が上の選手ほど感じている。それを練習や練習試合から表現できるかが、いまの一番の課題。3年間でどれだけ個を高められるかが目的というのは絶対に譲れない部分ではあるが、勝ちにいくことでしか得られないモノもある。これからは、成長しながら勝てるか勝てないかの戦い」。森岡監督は、そう力を込める。

この夏場は山でのランニングなどハードなトレーニングを積みながら、選手それぞれが現状を見つめ直す期間とした。これまで味わってきた悔しい思いも、成長の糧となっているはず。プレミアリーグ後半戦やJユースカップでは、選手個々としてもチームとしても、レベルアップした姿を見せてくれるに違いない。

■選手紹介
DF麻田将吾(3年)

各年代の日本代表を経験するなど、将来を嘱望されるセンターバック。187cmの長身を生かしたスケールの大きいプレーが持ち味だが、以前はボランチをしていただけにビルドアップの巧みさにも定評がある。センターバックでは希少なレフティーというのも魅力の一つ。5月に2種登録選手としてトップチームにも登録されている。

「チームはいま、プレミアリーグへ残留できるかどうかも決まっていない厳しい状況にあります。プレミアで戦えるという環境は、なんとしても後輩たちに残さないといけない。まずはプレミアで結果を出すことに集中しています。今年は一学年下の若原智哉が飛び級でU-19日本代表に呼ばれ、『もっと頑張らないと』と刺激を受けました。自分は細かい動きが苦手だし、アジリティももっと高めたい。トレーナーさんに個人的なメニューを組んでもらい、課題の克服に取り組んでいます」

MF島村拓弥(3年)

「プレーをひと目見れば特長が分かる子」と森岡監督が評する、強気な仕掛けが信条の左利きのドリブラー。今季の京都U-18には不可欠な存在だが、トップチームの練習試合でもインパクトを残している。時間が空くとバルセロナのプレー集をチェック。メッシやイニエスタの動きを自身のプレーの参考にしているそう。

「今年はプレミアリーグで1勝しかできていなくて、全然勝てていません。『自分たち攻撃の選手がもっと得点を取れるようにならないと』と責任を感じています。日頃の練習から、一つ一つのプレーにこだわってやっていきたいと思っています。自分の目標は、京都サンガのトップチームで活躍すること。トップチームの練習にも参加させてもらっているのですが、プロの選手は体が大きくて当たり負けすることが多いです。今後はもっと体幹を鍛えたいですね」

MF橋本尽(2年)

小学4年のときに京都サンガのアカデミーに入り、U-15やU-16の日本代表にも選ばれたクラブ期待のエリートMF。1年時はプレースピードに苦しんでいる様子も見られたが、2年生になってからU-18でも存在感を高めてきている。ワンタッチで相手を翻弄する非凡なボールコントロールは、一見の価値あり。

「自分は身長が低いけど、競り合いや個の力で負けていいわけではないと思っています。個人で打開する力だったり、ゲームを読む力だったり。チームをどう勝利に導くかを、いつも意識しながらやっています。10月にあるJユースでは、僕は去年ビデオ係でした。ビデオを撮っていると、同級生の若原(智哉)がPKを止めたりして活躍していて...。すごく悔しい思いをしました。なので、Jユースに懸ける思いは強いです。今年は自分がチームを引っ張りたいし、試合に出て一つでも上に上がれるように頑張ります」

DF大西航暉(2年)

184cmの高さが武器の大型センターバック。まだ2年生だが、「競り合いでは誰にも負けない」とヘディングに絶対の自信を持つ。今季は序盤で脳しんとうを起こすアクシデントに見舞われたが、6月以降はレギュラーに定着した。自身が課題に挙げるのは、ゲーム中に熱くなり過ぎず、常に落ち着いてプレーすること。

「森岡監督は日本代表で自分と同じセンターバックをしていた人。練習後にもたくさんアドバイスをしてくれて、『なるほど』と納得させられます。たまに練習でも監督が入ってこられるんですけど、そのプレーがやっぱりすごくて(笑)。寮では海外の動画を見て勉強しているのですが、バルセロナが好きですね。マスチェラーノ選手の間合いの詰め方やジェラール・ピケ選手の縦パスの入れ方なんかを参考にしています」

取材・記事/エル・ゴラッソ京都担当 川瀬太補
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