サッカーが上手くない選手は「技術がない」の一言で片づけられることが多いですが、個人技指導のスペシャリストとして知られるフリーのプロサッカーコーチの三木利章さんは、
「そうした選手は技術がないのではなく、身体動作が上手くできないため、ボールを扱うことができないからそのように見られてしまう。逆を言えば、上手い選手は身体をスムーズに動かすことができるからこそ、色んなボール扱いができる。サッカーが上手くなるためには、まずは身体を上手に動かせるようになるのが一番です」と話します。
三木さんは身体を上手に動かせるようになるためには、リフティングが理想的な練習と考えており、指導を行うチームでは、アップの代わりに毎回、リフティングを取り入れています。
今回はその三木さんが実施しているリフティングトレーニングのポイントを動画を交えて紹介していきます。
1回目:無名の街クラブを準優勝に導いた「動き創り」のためのドリブルトレーニングとは?
2回目:身体を思い通りに動かす「動き創り」のリフティング、コーンドリブルに必要な3つのポイント
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■リフティングの目的は、回数ではなく、身体を動かせるようになること
リフティングの練習に力を入れているチームは多いと思いますが、100回、1000回など回数を増やすことが目標で、「インサイドだけ」、「アウトサイドだけ」など指定した箇所でボールを扱えない選手が珍しくありません。回数を目標にする場合は、忍耐力や集中力を養うことができますが、リフティングの目標はリフティングを通じて、身体の神経系を刺激し、足を自由自在に動かせるようになること。
そのためには、キックの基本形であるインステップ、インサイド、アウトサイド、太ももの4箇所で全てリフティングができることが大事になります。まずは、1箇所でリフティングができることを目標にスタートするのがよいですが、ただこなすのではなく、様々な複数の要素を意識することが、サッカーが上手くなるためのポイントです。
ポイント1「決めたエリアでボールを扱えるようになろう」
リフティングを教える場合は選手にまず同じ場所、同じ体の向きでボールを触り続けることを意識させます。決めたエリアからボールが逸れてしまうと、足を伸ばしたり、体がのけぞったりして、身体のバランスを崩してしまうため、次の動きがスムーズにできません。
【NG】身体の中心からボールが逸れたり、エリア外に出てしまうと体勢が崩れ、次のタッチができない。
(※『TEKUDAMA TRAINING GUIDE』動きづくりのリフティングのポイントより)
ポイント2「3つの関節を動かそう」
もう一つのポイントは、関節をしっかり動かすことです。人間の身体は足首と膝と股関節の3か所が動き、これらにはそれぞれ内側にひねる内旋と、外側にひねる外旋という動作があります。これらの関節を満遍なく動かすために、キックの種類を偏りなく行うように意識しましょう。
インステップでボールを触れば、足首の関節を動かすことができますし、インサイドやアウトサイドでボールを触れば、膝・股関節を動かすことができます。アウトサイドでボールを触る際に気をつけたいのは、ボールの位置です。アウトサイドでボールを触る際は、足を外側に開ける選手が多いのですが、股関節を内側にひねるために足を前に出してボールを触るのが理想的なタッチです。
(※『TEKUDAMA TRAINING GUIDE』動きづくりのリフティングのポイントより)
最後にリフティングの見本(インステップ、アウトサイド)を動画で紹介するので、2つのポイントを意識して、ぜひ皆さんも真似してみてください。
(※『TEKUDAMA TRAINING GUIDE』動きづくりのアウトサイドのリフティングより)
(※『TEKUDAMA TRAINING GUIDE』動きづくりのアウトサイドのリフティングより)
今回はリフティングで意識したい基礎的なポイントを中心に紹介してきましたが、次回はインサイドやインステップなどを組み合わせた中級者から上級者向けのリフティングについてご紹介します。
次回>>試合で使えるボールコントロールが身につく!様々な動作を組み合わせたリフティングのポイント
三木利章(みき・としあき)
プロサッカーコーチ。主に少年サッカーチームやジュニアユースチームの指導、スクール主催などの精力的に活動。 育成年代で一番大切な『個』の技術・戦術の向上を目指し、実践で生かせる個人スキルを身につける指導を行っている。
リフティングを上達させるための2大ポイント 上手くなるコツは回数じゃない!
ガチ2019.07.14