テレビやYouTubeなどで、ドリブル動画やスーパープレー動画が人気を博しています。『ドリブルデザイナー』として活動中の岡部将和さんは、インターネットを通じてドリブルにまつわる動画を配信し、エンターテイメントとしてのおもしろさと、サッカーの上達につながる情報発信を両立させ、たくさんのファンを得ています。
そんな岡部さんが今回、「Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」というDVDを監修するにあたり、サカイクでは岡部さんにドリブルを上達させるポイントや理論、Jリーガーや日本代表でお手本となる選手のドリブルについて話を伺いました。
連載企画3回目となる今回は、岡部さんが監修を務めたDVDでご紹介いただいたJリーグのスター選手たちのドリブルの凄さや映像を見る時のポイントについて岡部さんならではの考えを紹介していきます。(文・鈴木智之)

(※サカイク 2019年12月10日掲載記事より転載)

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

1回目:ドリブルを上達させるために大切なのは「距離と角度と一歩を踏み出す勇気」
2回目:自信を持ってドリブルを仕掛けるには「これなら抜ける」という距離と角度を知っておくこと

一人の選手のドリブルを繰り返し見ると「たくさんの発見がある」
岡部さんが監修したDVDではイニエスタ選手や久保建英選手といったJリーグのスター選手たちの、華麗かつ鮮やかなプレーが100シーン収録され、すべてに岡部さんが解説をつけています。

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

さらには、岡部さんが気になった10個のプレーに対しては、自らがボールを使って実演。「この選手のドリブルはどうなっているの?」「どこがすごいの?」「真似するためにはどうすればいいの?」といったことがわかります。

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

岡部さんは、自身のYouTubeやSNSで、世界のトップ選手のドリブルを解説しています。選手が感覚でプレーしている部分を言葉にして、わかりやすく説明し、再現してしまうのがすごいところです。

選手のプレーを分析するときは、次のようなプロセスで行うそうです。

「まずは映像を見て、『なぜこのドリブルで相手を抜けるのだろう?』と考えます。(ボールを奪いに来る)相手の重心がどこにあるのか、身体の動かし方はどうなっているのか、といった部分を見ていきます」

一人の選手のプレー映像を繰り返し見ていると、「たくさんの気付きや発見がある」と言います。

「プレー映像をいくつか見ていると、『この選手はいつもこうやって動いているな』という共通点がみつかります。動きを参考にしながら、どういう事を考えて、ドリブルしているんだろう? とイメージしていきます」

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映像を繰り返し見て、選手の気持ちになって考えるとともに、上半身や下半身の動かし方、視線など、気になるところをリストアップしていくのだそうです。これは、サッカー選手を目指している人や、ドリブルがうまくなりたい人にとって、「見て学ぶ」という方法の参考になるのではないでしょうか。

「一人の選手のプレー映像をいくつか見て、その選手の立場になって考えます。そして、『自分がDFの立場だったらこうなるよな』「自分だったら、ここではボールに触れないな』という細かい部分をみつけていきます。次に、実際にボールを使って再現していくうちに、『だから、ここでかかとを浮かせているんだ』といった発見があるんです」

ドリブルを見て勉強する時は「選手の気持ちになってイメージすること」
DVDの中で、たくさんの選手のプレーを解説し、実演している岡部さん。たとえば、ガンバ大阪時代にセンセーショナルなプレーを連発した食野亮太郎選手のプレーにも言及しています。

2019シーズンに行われた、湘南ベルマーレとのホームゲーム。後半アディショナルタイムに、そのスーパープレーは飛び出しました。

左サイドでボールを受けた食野亮太郎選手は、右足でボールを持つと、目の前にいる相手選手の左側をドリブルで通過し、中央へと進んでいきます。そこで一度相手と距離をとり、ターンして正対すると、再び右足でボールを持ち出して中へと進み、ペナルティエリアの外から右足を一振り。ゴール右隅に強烈なシュートを突き刺しました。

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

まさに『個人技』と呼べる、ドリブルからのゴール。海外クラブからオファーが届くのも納得のプレーです。

岡部さんはこのプレーについて「シュートまで描くビジョンが素晴らしいですよね。普通であれば、縦にドリブルをしてクロスを上げるか、中にカットインしてシュートを打つかの二択が多いのですが、食野選手は中へドリブルで切れ込んで、シュートが打てないとわかったときに、プレーをやり直して、もう一度ドリブルで仕掛けました。その判断が素晴らしいです」と説明します。

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

「技術面で言うと、ドリブル突破をやり直したときに、DFが食野選手の右前にいたのですが、縦へ行くという怖さを出して、相手が縦のコースへ動くのを待ちました。待ったことで、もう一度中へ進む、カットインが効果的になったのです」



※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より
DVDではこのドリブルを岡部氏がJリーグの映像を使って詳しく解説!>>

他にも、岡部さんが「これは、ビジャ選手の凄いところが全て盛り込まれたプレーです」と語る、ダビド・ビジャ選手のドリブルからのシュートや金崎夢生選手のプレーなど、テクニックと決定力を併せ持つ選手のプレー解説、実演が豊富に収められています。

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※DVD「 Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック」より

トップレベルの選手のドリブルの秘密がわかるとともに、真似をしてレベルアップに役立つDVD。岡部さんは映像を見るときの心の持ち方について、次のようにアドバイスをくれました。

「選手の気持ちになって、『こうやってドリブルしているんだな』と、イメージしながら見るといいと思います。『自分だったら、この状況でどうするかな?』『自分だったら、ここでドリブルをやり直すけど、この選手はこのコースを進んで行けなるんだ』など、見ていると気づきや発見があります。『このコースを進んでいくには、身体の強さが必要なんだな』と思えば、フィジカルトレーニングをやってみるのもいいですし。自分に置き換えて見てもらえるといいですね!」

見るだけでイメージトレーニングができ、多くのトップ選手のテクニックや考え方がわかる『Jリーグの厳選プレーから学ぶ 日本人が世界で活躍するためのドリブル実戦テクニック』。

これを見て、選手の気持ちになってイメージを膨らませ、実際のプレーに取り入れたり、練習して自分のものにしてみましょう!

連載企画最後となる次回は、岡部さんが元FC東京の石川直宏さんと対談した最近の日本のドリブラーの印象や、久保建英選手や中島翔哉選手といった日本代表で活躍する名選手のドリブルについて解説した内容に迫ります。


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岡部将和(おかべ・まさかず)
神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、フットサル選手として活躍。引退後は、誰でも抜けるドリブル理論を持つドリブル専門指導者『ドリブルデザイナー』として活動し、Youtubeを始め SNS上で配信するドリブル動画閲覧数は約1億PVを超える。少年サッカーから現役日本代表選手まで幅広いレベルの選手を対象に、独自のドリブル理論に基づいた指導を行っている。

著書:ドリブルデザイン 日本サッカーを変える「99%抜けるドリブル理論」 (TOYOKAN BOOKS)

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