技術を磨き、体力を充実させるのと同時に必要なのは、サッカーギアを選ぶ目を養うこと、そして、ギアを正しく使いこなすことだ。名古屋グランパスでホペイロとして活躍する松浦紀典氏に、タメになるアドバイスをもらおう。

STORY1 スパイク選びが選手のレベルを決定づける!

自分の足にスパイクを合わせる

プロホペイロの松浦さんが中高生読者に最も伝えたいこと。それはスパイクを選ぶ時の心構えだという。「技術の進歩と共にスパイクも年々進化しています。ですから、新しいスパイクを積極的に選ぶということは、新しい技術をサッカーに採り入れるという意味で大きなメリットがあると言えるでしょう。でも、デザインだけで選ぶとか、憧れの選手が履いているといった理由でスパイクを選ぶという傾向があるのはとても気になります。スパイク選びで最も重要なのは自分の足に合うかどうか。私は、デザインがいいからといって足に合わないスパイクを履いて失敗した中高生を数多くみてきています。足に合ったブランド、モデルがあればその新作を常にチェックするのもいいでしょう。どのモデルが自分の足に合うかをしっかり見極めることがまず大事です」

天然皮革が上、という訳ではない

やっぱり天然皮革がベスト、というのもスパイク選びにおける大きな誤解だと松浦さんは言う。レザー、人工皮革、それぞれに良し悪しがあるというのだ。「レザーは本来の滑らかさを持っていて足にフィットしやすい。でも手入れももちろん必要で、履きっぱなしでは型崩れしやすいし、壊れてしまうこともあります。その点、人工皮革は雨にも強いし、手入れも簡単。表面が伸びてしまうことも少ないので、長い間、買った当初のフィット感でプレーし続けることができるのです。どちらが良いかは一概に言えませんし、プロでもレザーを好む選手、人工皮革を好む選手、マチマチです。一般的には天然皮革のスパイクの方が高価なことが多いですが、だからといって自分にとってベストかは別問題。やはり、スパイクは実際に履いてみた感触で選ぶべきです」

どんなピッチでプレーするかを考える

スタッドの形についてはどうだろう。丸型、ブレード型、その中間と様々なスタッドがある。選手は何を参考にスタッドの型を選べばいいのか。「ブレード型は丸型に比べて、急激にストップする時など地面をよくかんでくれます。プロでもサイドバックやFWにブレードを好む選手が多い。一方、丸型は力が抜けやすく、スムーズなターンを助けてくれます。だから360°の方向に動くMFに丸型を好む選手が多いんです。ですが、天然芝だと丸型は滑りすぎてしまうことがあるし、人工芝でブレード型を履くと足を痛めてしまうリスクが増える。つまり、ポジションやプレースタイルで選ぶというより、自分がどんなピッチでプレーするかに着目してスタッドを選ぶのが好ましいと言えます。理想は丸型、ブレードを両方所有して、ピッチによって使い分けることですね」