コロナの影響で、インターハイが中止になり、チーム活動も本格的にはできない状況下のなか、京都の強豪である京都橘高校の米澤一成監督が、いま思うことや取り組んでいること、選手たちに気付いて欲しい点などをWEB取材で聞いてみたぞ。

Q:チーム活動ができない中、京都橘で取り組んでいることを教えてください。
「週に1度、webミーティングシステムのZoomを使って、フィジカルコーチに見てもらいながらトレーニングしています。全員参加でのトレーニング回数を増やさないのは選手に意識の差があり、トレーニングを頑張る子は頑張りますが、気持ち的に頑張れない子もいるためです。僕が参加すると選手がアピールしようと無理して頑張り、気持ちが消耗してしまうので、コーチのみが参加しています。他にも、自宅でできる様々なトレーニングメニューを紹介していますが、自由参加であり、強制はしていません」

Q:毎日webトレーニングを行うチームも多い中、なぜ選手の自主性に任せているのでしょうか?
「活動再開が見えない中で指導者が与えたトレーニングを続けると、選手の気持ちが保てず中弛みすると考えたからです。選手も僕もこの期間にある程度リフレッシュしようと考えました。『サッカーをやりたい』と思い方法を探しても、必ず壁にぶち当たって、ストレスを抱えてしまう。それなら、ある程度サッカーから離れた方が良いのです。期間中は選手の自主性に任せながら、『自分に何が必要なのか考えて動きなさい』と伝えました。トレーニングを重ねるうちに、フィジカルコーチに『どんな練習をすべきですか?』と尋ねる選手が増えたのは、練習できない中でも意識を高く保ってくれたからです。活動ができる状況になれば怪我のリスクを避けるため、ヨーロッパのコンディション回復を参考にした低強度のトレーニングに切り替えます。これまで指導者が何も口出さず、選手がサッカーに飢えていた分、再開後は前向きにトレーニングと向き合ってくれるでしょう」

Q:サッカーができない状況だからこそ、選手に気付いて欲しい点はありますか?
「社会の中でのスポーツの在り方に気付いて欲しいです。新型コロナの感染拡大による影響で、我々が参加する大会だけでなく、世界中のありとあらゆる試合がなくなりました。ニュースで政治や世界情勢に目を向ける機会が増え、スポーツは社会を豊かにするものではあっても、社会にとって必要不可欠な物ではないと気付けたでしょう。社会のベースが整っていたから、我々はスポーツに打ち込めていたのです。これまで深く考えずにやっていたサッカーの有難みを知れる重要な時間だったと思います。今後、日本以外の国で何か問題が発生しても対岸の火事で終わらず、より身近な物事として考えられるようになって欲しいです」

Q:インターハイが中止になった選手には、どのような言葉を伝えたのでしょうか?
「webで個別面談はしていますが、しっかりとした話は活動再開後するつもりです。ただ、3年生は高校生活をかけていた大事な大会がなくなり、選手の選手権にかける想いは倍増しているはずです。そうした想いを学年の繋がりやチーム力に変えて欲しい。他のチームでは、インターハイが中止になり、このまま大学受験に専念する選手も出てくるでしょう。ただ、高校サッカーというカテゴリーを引退するだけで、この先もサッカーをする機会はあります。選手権後にうちの選手にも言いますが、『サッカーは引退じゃない』と伝えたい。インターハイにかけるつもりだったパワーを行きたい大学に行くためのパワーに変え、大学サッカーでまた活躍して欲しいです」

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