メッシに学ぶ「緩急」の変化

メッシのプレーは「大きく、速く」をベースに、ボールタッチは小刻みで柔らかい。そうした緩急の変化も、スピードをアップさせるためには効果的だ。常にハイスピードではなく、ゆっくりとした動きから、一気にギアを上げるから、相手はついていくことができない。ひとりよがりのドリブルではなく、相手との駆け引きも重要なポイントなのだ。

「日本の選手を見ていると、『小さく、速く』動くことが得意な選手は多いです。たとえば、その場でステップを踏んでごらん?というと、多くの子どもが小さく、速く、脚だけを動かします。しかし、ドイツなどヨーロッパの選手たちは、体の軸ごと左右に『速く、大きく』動く意識も併せ持っています。この違いが、身体が成長するにつれて、フィジカル面の差になって現れてきます。そのため、サイドにステップを踏む時は足だけではなく、身体全体の軸を移動させるイメージで動くと良いでしょう。それが結果として、大きく動くことになります」

上半身と下半身を連動させて、身体を目一杯大きく使う。それが『大きく・速く』動かすためのポイントである。大きく、速く動かすことができれば、『細かく・速く』動くことも可能になる。メッシの身体の使い方には、彼が世界ナンバーワン選手である理由が含まれている。テレビでプレーを見ている時も、技術面だけでなく、身体の使い方を意識してみると、上達のヒントが隠されているかもしれない。

フリーマガジンSpike!掲載内容より転載