FCバルセロナのMSNを知っているか?メッシ、スアレス、ネイマールのことだ。今季のリーガ・エスパニョーラでは3人合わせて48ゴール(23節終了時点)をあげており、「トリデンテ(3本の矢)」の威力はとどまるところを知らない。
なかでも、今季、リーガ・エスパニョーラで20ゴールを最速で達成したのが、スアレスだ。メッシ、ネイマールの凄さはいまさら解説するまでもないが、スアレスの凄さは一体どこにあるだろう?
それは「ボールを受ける前の動き」にある。メッシのようなドリブル、ネイマールのようなテクニックは簡単に真似ができるものではない。しかし、スアレスのオフ・ザ・ボールの動きは中学生であっても、高校生であっても、すぐに真似することができる。今回はスアレスのオフ・ザ・ボールの動き、3つのポイントを紹介したい。とくにFWの選手はよく読んで動きをイメージして、プレーの参考にしてほしい。
スアレスのオフ・ザ・ボールの動きの特徴、ひとつ目が「相手の死角から出てくるポストプレー」だ。彼はセンターフォワードとして、ピッチの中央部にポジションをとることが多いが、常に相手の最終ラインと駆け引きをしている。具体的には、デイフェンスラインの選手の死角に入るポジションを、常に狙っているのだ。
あえてオフサイドの位置に立ち、味方がパスを出す直前にオンサイドの位置に走りこみ、ボールを受ける。マークするDFからすると、背後にいた選手が急に自分の前に出てきて、パスを受けるのだからたまらない。そこでスアレスをつかまえるため、DFラインを下げてしまうと、バイタルエリアがぽっかりと空き、イニエスタやラキティッチなど、2列目の選手に使われてしまう。スアレスはポジショニングの駆け引きで、相手の優位に立っているのだ。
そして、2つ目のポイントが「パスを受けたあとの、小刻みなボディフェイント」だ。まず、スアレスは相手DFを背負った状態で、ボールとDFの間に身体を入れてブロックする。DFはボールを奪おうと足を出しに来るのだが、その前に身体を左右に細かく振り、フェイントをかける。そして相手を惑わせ、狙いを絞らせない状態を作って、味方へパスを出し、シュートを打つためにゴール前に駆け上がる。ただ本能のままにボールを蹴っているのではなく、相手と駆け引きをして、時間と空間を作り出しているのだ。
最後、3つ目が「シュートがゴールへ飛んでいる場面でも、足を止めない」である。味方選手がシュートを打ったときに、多くの選手が足を止めて、ボールの行方を見ている。しかし、そのなかでスアレスは、足を止めずにボールに反応している。なぜか?それはこぼれ球を詰めるためだ。この動きは、意識して行わないとむずかしい。どんなにスプリントをして身体が疲れていたとしても、シュートに対して必ず反応する。それこそが、スアレスがストライカーたるゆえんだろう。
以上が、スアレスが実践する、オフ・ザ・ボールの3つの特徴的な動きである。スアレスの技術、フィジカルは真似できなくても、彼がプレー時に行っている「判断」や「思考」は真似することができる。常に頭の中を動かし、相手のスキを突いてゴールを狙うプレーを増やしていこう。