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脳を鍛えるトレーニング「ライフキネティック」とは?

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ライフキネティックという言葉をご存知だろうか? これはドイツを中心に世界中で知られるようになってきたトレーニング方法で、元ドイツ代表監督、ユルゲン・クリンスマン氏が導入したことで有名だ。

ライフキネティックはトレーニング方法の一つで、簡単に言うと「脳を鍛えるトレーニング」のこと。サッカーの試合中、すべての場面で判断が必要になるのは、読者のみんなもご存知のことだろう。試合の中では、状況を認知、判断、決断し、プレーを実行するというサイクルが行われているのだが、認知や判断といった、頭の中で行う部分に働きかけるトレーニングなのだ。

具体的な練習メニューを紹介しよう。たとえば、ドイツ・ブンデスリーガ・マインツのアカデミーで指導をするコーチは、次のようなライフキネティックの要素を取り入れたメニューを行っていた。

それが「手でテニスボールをジャグリングしながら、足でボールを蹴ってドリブルをする」というもの。手でテニスボールを持ち、右手から左手に素早く持ち替えて、身体の周りを一周させながら、足でサッカーボールを蹴り、ドリブルで前に進んで行くのである。

これには「手でテニスボールを扱う」動きと「足でボールを蹴って、ドリブルで進む」という2つの動きが含まれている。ただドリブルをして進んでいくのであれば、足元のボールにだけ、意識を向ければいい。しかし、そこに「手でテニスボールをジャグリングする」という、異なる指揮系統の動きを入れることで、脳には通常のドリブルよりも大きな負荷がかかる。そのようにして脳に刺激を入れ、認知力や判断力を高めるように、働きかけていくのである。

これは自主練習にも応用できる。たとえば、しりとりをしながらパス交換をしたり、足し算や掛け算などの問題を出し合いながら、互いにリフティングをするのもひとつのトレーニングだ。その際にポイントになるのが、ボールを蹴ることだけに集中するのではなく、2つの異なる運動をする、あるいは頭では違うことを考えながら、ボールを蹴るような設定をすること。

さらに、二人でトレーニングをするときは、ひとりが手でボールを投げて「右足!」と言ったら左足で返すというように、通常であれば考えなくてもオートマティックに体が動くことと反対の指令を出すだけで、普段とは違った刺激を脳に与えることができる。

ここ数年、毎年のようにJリーガーを輩出している大阪の興国高校では、脳に刺激を与えるために、3号球の大きさで5号球の重さがあるボールや、リフティング用のゴムボールを使って、技術練習に取り組んでいる。これも脳に普段とは違った刺激を与え、技術の習得や判断力の向上をうながすためだ。

このように、普段何気なくやっているトレーニングにひと工夫することで、いつもとは違った刺激を得ることができる。とくに自主練などはボールを蹴ったり、リフティングをしたりといった「プレーの実行」部分は鍛えることができるが、それと同じぐらい重要な「認知」「判断」について、トレーニングすることは難しい。

そこで、今回紹介したライフキネティックの要素を取り入れてみてはいかがだろう。いつもとは違った刺激を得ることで、新たな気付きがあるはずだ。

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