サッカーで大学を選びたい!そんな思い抱いている読者も多いのでは。。。? そこで今回は明治大学サッカー部監督、栗田大輔さんに選手の選考時期やどういったところ見ているのか。聞いてきたぞ! (文/竹中玲央奈)
◆明治大学サッカー部に入るには、スポーツ推薦という形なのでしょうか?
栗田監督:そうですね。明治はスポーツ推薦が大学入試の規定の中の制度としてあります。大学としての活動の趣旨や明治大学の在り方などを1つ1つ説明して、納得してから入ってもいます。ただ、サッカー部からはあくまでも学校に推薦するだけで、最終的には学校の規定に沿った手続きや試験を経て「合格」となります。ですから"サッカー部から推薦したから合格"という事にはならないです。ただ、落選するということはほとんどないですね。
◆推薦する選手というのは、高校の大会などを見て声をかけるのでしょうか?
栗田監督:明治大学の場合は総監督が年がら年中、各高校やクラブチームの大会を見ています。その中でいい選手がいれば、声をかけます。その後明治のサッカー部のポリシーを聞かせて、練習に参加をしてもらい、本人が「明治でやりたいんだ!」と思ってくれれば、サッカー部から推薦をします。ただし、単にサッカーが上手いからといって声をかけることはしません。明治大学としては単純に"サッカー選手を育てている"訳ではなく、サッカーと大学生活を100%やりきって、社会に出て行ってほしいという思いがあります。その趣旨に賛同してもらえないと、お互いにとって良くないですから。
だからこそ、まず練習に参加してもらい、そこで本人にサッカー部の雰囲気などを感じてもらい、ぜひやりたい!と思った選手をセレクションに呼びます。セレクションの時期は、今までの通例では8月くらいに行います、そこでスタッフの中で話し合って、何人かを学校に推薦するという形です。
◆セレクションには何人が来て何人が受かるのでしょうか?
栗田監督:その年によって呼ぶ人数も受かる人数も全く違うのですが、だいたい、3,40人くらいでセレクションをやりますね。ほとんどの人は練習に1回は来ています。学校の先生と話して、練習に2~3日参加してもらって。それで本人が受けたい、こちらも受けて欲しい、となった場合にセレクションを受けてもらいます。
◆まずは練習参加なんですね。
栗田監督:そうですね。ですが練習参加にも基準があります。例えば全国大会出場とか、大学の制度の中の基準、資格に沿わないと、明治のスポーツ推薦には入れないですよね。逆に、チームとしては成績が出ていないけど、ものすごく良い選手がいる場合、声をかけることはあります。
◆一般生がサッカー部に入るのは、難しいのでしょうか?
栗田監督:いやいや、例えば長友佑都(インテル)は指定校推薦で入って部の門をたたきました。ただ、サッカー部には誰でも入れるわけではないので、練習生としてプレーを見させてもらうことから始まります。例えばスポーツ推薦の選手よりも上手いか、部に何らかの影響を与えられるかというところですね。強いメンタリティーを持っているか、など。そういった面を見させてもらいます、一般入試で入ってくる学生は、1学年で大体3人から5人です。日本代表に入っている丸山祐市(FC東京)も一般入試で入ってきました。意外と最後に明治を救うのは一般生なんですよね。推薦の選手には見えていないものを、一般生は持っています。苦労してきて入ってきていますからね。
◆ちなみに、先程おっしゃっていた部のポリシーとはどういうものでしょうか?
栗田監督:プロの養成所ではなくて、社会に出ていく一歩手前の、人間形成の場だと。それを徹底して言っています。プロサッカー選手も、いち社会の中の職業であり生き方です。サラリーマンをやってもプロになっても、仮に自営業をやっても、それぞれがそれぞれの場所で活躍してほしいという思いが明治の考え方のベースにあります。そこに至るまでの大学生活を、勉強もサッカーも全力でやることで、どの世界でもリーダーシップを発揮して欲しい。また、僕らはプロに入るということはスタートラインだと思っていて。プロに入って10年、15年活躍する人材を育成したいと思っています。そういう人間が日本代表になったり、世界で活躍したり、そういったところにつながっており、そこまでを見据えています。
◆高校生に推薦の声をかける際、サッカー以外のどういう部分を見ますか?
栗田監督:まず、非常に貪欲で謙虚であり、チャレンジャー精神があるかどうかです。
ちょっとできあがっていて「俺は上手いんだぜ」というような部分が見えていたり、上から物事を見てしまうような選手だと、大学で成長するのは難しいのかなと感じます。常に自分の限界を超えていくとか、常に自分が楽しめて、貪欲にチャレンジできる精神を持っていること、あとは人の話を聞く姿勢があったり、人の話を受け入れるマインドを持っていたり、と。そういう人間じゃないと、と思います。
◆いくら上手くても、そういう部分がないと、という事ですね
栗田監督:世の中にうまいやつはごまんといて。自分より上手い人も強い人もいっぱいいる中で、自分自身がそこをしっかり理解して、自分と向き合えないと、この先、自分のプライドや変なものが邪魔をして、絶対に伸びないんです。ちょっと理不尽なこととか、自分の想定と違うことにぶつかったときに、そこで挫折をしてしまう。そこから自分を修正する力もないので、這い上がれない。多分、海外に行くとまさにそうだと思いますが、日本だとジュニア時代からずっとちやほやされて、周りもサポートしてくれる。Jリーグでもスタッフもトレーナーもいる。ただ、海外に行くと誰もサポートをしてくれません、まず言葉の壁があって、周りも上手いし、その選手の過去の経歴なんて誰も知らない。自分自身でどうにかして這い上がるしかないんです。そういった経緯から這い上がる訓練を高校年代でできるか、というのは大きいです。
◆スポーツ推薦を狙うには、いつまでに活躍してすればいいのでしょうか?
栗田監督:他大学さんのことはわからないですけど、明治大学の場合は、大学の入試制度の一貫なので、そういう意味では2年生、3年生の夏前までにある程度活躍しているシーンがないと、とは思いますね。願書を出したり、推薦を上げたり、入試制度に期日があるので。選手権が終わったタイミングだと、一般入試の時期ですからね。推薦制度はそれよりも前にあるので、その部分はちょっとタイミングがずれるのかなと。だかこそ、2年生までとか、3年生のインターハイの活躍はすごく大事なのかなと思いますので、頑張ってもらいたいです。