ヤンサカ

スピードの土台となる、フィジカル構築への意識-鳥取・米子北高校編

SHAREこの記事をシェア


  

スピードを武器とするため、土台となるのは充実したフィジカルの構築。
そこで、強豪校はどんな体力強化をはかっているのか、リサーチを試みた。
鳥取の雄、米子北高校の注目選手が語る、フィジカルアップの秘訣とは。(Text&Photo_Masayoshi Morita)

Koki Yamamuro/山室昂輝
学年:3年
ポジション:MF

01.JPG

スピードと競り合いに勝つため、体幹と筋トレを意識
「中学まではポゼッションを重視するチームに所属していたので、あまり競り合う機会がありませんでした。でも、米子北はロングボールを多く使うため、相手と競り合う機会が多い。最初は自分に合わないと思いましたが、自分が合わせるしかないと覚悟を決めて、自主トレをたくさん行ってきました。空中戦の際に体を当てられて軸がブレていては上手く競れません。シュートを打つ際も踏ん張るための体幹が必要なので、相手に当たり負けしない体を身につけるため、普段から体幹と筋トレを重点的にしています。そのことで、相手のゴールキックを競り
合う際にだいぶ勝てるようになってきたし、身体が強くなったことで自信がつき、セカンドボールを拾う意識も高まりました。特にジャンプヘッドは上手くなったと思います。普段、150mを10本走る所を、20本走ったりと自分でも工夫しながら、試合に勝つため頑張っています」

Junpei Muraki/村木尊平
学年:3年
ポジション:DF

02.JPG

体の使い方が、プレーの質を向上させる
「僕は特別な器具は使わず、腕立てや腹筋、背筋をしてコツコツ体を鍛えています。自分では体が強くなった実感はありませんが、試合で相手にぶつけれられても倒れにくくなったり、キックがより遠くへ飛ぶようになりました。フィジカルが強くなったことだけでなく、体の使い方を教えてもらえたのも米子北に来て良かったと思える点です。例えば守備の時、フィジカルで劣る相手にトラップされてから体を寄せるとスピードでかわされたり、パワーで負けてしまうので、相手がボールを受ける前にできるだけ体を寄せる意識が大事だと教わりました。また、相手にフィジカルで勝つためには気持ちの部分も大切です。米子北に来てからは親に感謝する気持ちや普通にサッカーができる環境のありがたさを学びました。そうした気持ちがあるから、フィジカルやスピードで負けたくないと思えるんです」

Hiroaki Tanaka/田中宏旺
学年:3年
ポジション:DF

03.JPG

身体づくりには、食事の改善が欠かせない
「米子北に入ってから、体作りのために必要な食べ物への意識が変わりました。定期的に開かれる講習会のおかげで練習直後にプロテインを飲み、その2、3時間後に魚肉ソーセージやおにぎりなど、補食をとると筋肉がつきやすいと学びました。これまでは美味しければ何でも良いという考えでしたが、インスタント食品を控えるようになりましたし、おにぎりの具材も炭水化物が入っている物を選ぶようになりました。また現在は、筋トレの効果も感じています。腕立て15回をゆっくり行い、その後に速い腕立てを15回。同じように腹筋を行い、次に背筋を30回。最後にジャンピングスクワットを行うのが1セットです。こうしたトレーニングは本数を変えてほぼ毎日、行っています。この取り組みによって体が強くなりましたが、まだ局面では勝てない場面もあるので、相手よりも先に動く意識など、準備の部分を高めなければなりません。そのためにFWと駆け引きを学ぶ2対2の練習で、FWよりも前に出たり、色んな動きを試したりしています」

Ryusei Ito/伊藤龍生
学年:3年
ポジション:FW

04.jpg

足の遅さを、動き出しの速さでカバー
「中学までは中盤でプレーしていて、FWになったのは高校生になってから。最初は抜け出しのタイミングがまったくダメで、抜け出しても何もできなかったり、FW向きの選手ではありませんでした。でも、これまでの2年間、中村監督などスタッフから体の使い方を学んできたことで、ゴールを奪えるようになってきました。特に勉強になったのは相手に競り勝つための体の使い方。僕の場合、体を大きく使わないと相手に当たり負けしてしまいます。普段は姿勢が猫背になってしまうのですが胸を張ったり、ヘディングする際も両腕を大きく開くと相手よりも体が大きく見えます。そうしたことを意識しながら、体を当てると少しずつ相手に競り勝てるようになりました。また、足が遅いので、動き出しを意識し、相手より先に動き出すようにしています。ポイントは常に中盤の選手を見ること。中盤の選手が顔を上げた瞬間に、相手の裏へと走りだせばスピードがなくてもゴール前に抜け出せます」

Sota Nakahara/中原創太
学年:3年
ポジション:GK

05.jpg

走りの質を決めるのは、姿勢の良さかもしれない
「米子北では毎日、体幹を鍛えるメニューがあります。チームで行うトレーニングは皆、一緒ですが、それぞれが必要だと思う箇所を自主トレで鍛える選手も多くいます。僕個人としては練習を続けるうちに倒れにくくなったし、体の軸がしっかりしたのでキックがより遠くに飛ぶようになりました。また、ハイボールをキャッチする際に体を当てられてもバランスが崩れないようになったことも大きなメリットです。バランスディスクに乗って体幹を整え、簡単に体の軸がブレない姿勢を学んでいるのですが、理想は体が縦にまっすぐ伸びている姿勢。走った
際に、腕や肩の動きにつられて姿勢を崩さない動きが大事です。それができていない時は走りにくいし、逆に今日は走れているなと思う時は姿勢が良い。米子北には、必要な場所に筋肉をつけた選手が多いので、見た目以上に当たりに強い選手が多いと思います」

Shingo Nakamura/中村真吾 監督

06.jpg

目指すのは、相手に負けず、ブレない体づくり
「鳥取は雪が積もる地域なので冬にグラウンドが使えません。よく、高校サッカーでは"夏を超えたら選手の体が変わる"という言い方をしますが、冬場は100m程の長さがある廊下で体幹やショートダッシュをして体を鍛えているので、冬に体が変わります。また、普段のトレーニングでも体幹を鍛える他、試合前にも怪我の予防のためにチューブトレーニングや体幹トレーニングを行っています。イメージするのはパワーをつけることではなく、相手に当たられてもブレない体作り。そのために体の厚みより、横幅を増やすことが大事で、特にわきの下やお尻周辺を鍛えています。下半身に関しては、砂浜でダッシュやターンをすることで、踏ん張る力を身につける。そうすることで、足首の可動域が鍛えられ、怪我が減りました。他にも、単に正しい姿勢で走るだけでも、体は鍛えられると思います」


その他の記事はこちら



  
  
 
1

SHAREこの記事をシェア

PAGE TOP
×