第97回全国高校サッカー選手権大会
19年1月12日(土)14:25キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002
観客23,083人/試合時間90分
流通経済大柏 5(3-0、2-0)0 瀬戸内

■得点者
(流通経済大柏)
岡本竜(前半4分)
藤井海和(前半10分)
関川郁万(前半42分)
熊澤和希(後半9分)
渡曾武蔵(後半29分)

■ゲームのあらすじ
2年連続での決勝行きを狙った流通経済大柏が攻守で瀬戸内を圧倒した。前半4分に⑩熊澤和希のスルーパスからゴール前を抜け出した⑨岡本竜が決めて先制すると、10分には右サイドを④西尾颯太がドリブルで突破。ゴール前に入れたパスを、中央を駆け上がった⑳藤井海和が決めて2点差に引き離した。42分には、持ち味のセットプレーから見せ場を演出。左から入れたショートCKを⑤関川郁万が頭でたたき込み、前半の内に試合の大勢を決めた。後半も流通経済大柏の勢いは衰えず、2点を加えて試合を終えた。

■ピックアップコラム
10番の価値を証明する圧巻の1G1A 流通経済大柏・⑩熊澤和希は決勝で昨年のリベンジを狙う

名門校の10番を背負う⑩熊澤和希の実力は伊達ではない。圧巻の1ゴール1アシストを記録し、チームを2年連続での決勝に導いた。これまでは左MFとしてプレーを続けてきたが、この日は前からの守備を徹底するため、ダブルボランチの一角としてプレー。パートナーを組む⑳藤井海和が後方を担当するのに対し、⑩熊澤はトップ下に近いポジションをとり、FWがかけたプレスのこぼれ球を狙った。

普段とは違う位置ではあるが、「今までどおりプレーすれば、結果も出ると思うし、チームの結果も出ると思っていた」(⑩熊澤)。いい意味で普段どおりのプレーに徹すると、最初に見せ場が訪れたのは前半4分だった。相手のペナルティーリア前でボールを受けた⑩熊澤がDF裏のスペースにスルーパスを展開すると、左から走り込んだ⑨岡本が決めて先制した。以降も⑩熊澤は中盤で起点となりつつ、武器である強肩を生かしたロングスローでも好機を演出した。

引き立て役だけに留まらず、後半9分には自身もフィニッシャーとして魅せる。後方から前線に浮き球が入ると、⑩熊澤は相手のクリアボールにいち早く反応。ジャンプしながら、うまくコントロールしたボールをそのまま地面に落とさず、左足でたたき込んだ。「いいファーストタッチができたのが、シュートにつながった。あとはシュートを打つだけだった」。2点を生み出した⑩熊澤は、3回戦の星稜戦で警告を受けていたため、決勝戦に備えて後半13分にピッチを退いたが、チームへの貢献度は誰よりも高かったのは間違いない。

日本一まであと一つに迫ったが、決勝で勝たなければ意味がない。昨年も決勝のピッチに立ったものの、シュートは1本も打てず後半開始すぐに交代。「昨年は何もできなかったので、明後日の決勝戦で自分のプレーを発揮し、チームの勝利に貢献したい」。

今年、プレミアリーグの舞台で2度対戦しながら、1度も勝てていない青森山田が決勝の相手だが、「高体連に負けちゃいけない意識を流通経済大柏は持っている。プレミアで負けている分、選手権で返したい」と話す彼にとっては好都合だ。「相手のストロングポイントを消せれば、自分たちのストロングポイントが出せると思うので、まずは守備を意識したい」と続けたように、これまでどおり守備を徹底しながら、自分らしさをぶつけるつもりだ。

取材・文:森田 将義(フリーライター)
写真:高橋 学

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