チームワークを向上させるうえで自分には何ができるのか。そもそも、チームワークって一体どんなものなのだろうか。優れたチームをつくるため、個人には何ができるかを考えていく。
複数集まれば驚くほどの力が生まれる。
チームワークとは一体、どのようなものなのか。その実体を理解することで、個人個人がどのような行動をとればいいのかが分かってくるはずだ。そこで、ジュニアユースからJリーグ・トップチームまでの幅広いカテゴリーで、「チームビルディング」という理論、プログラムを用い、チームワーク向上を実現している専門家・福富信也氏に話を聞く。
「例えば長なわ跳びだと分かりやすい。一人ずつ入って、跳んで、また次の人が入って、跳んでというなわ飛びの遊びです。面白いのは、一人ずつ入って、跳んでと言うと簡単にできる。でも、二人同時になわ飛びに入って、跳んでと言った途端、急に難しくなる。一人一人は跳ぶ技術があるのに、二人になるとできない。つまり1+1が2になっていないということです。逆に、陸上の400mリレーは4人がそれぞれ100mを走る競技ですが、例えば、北京五輪での日本代表のタイムは38秒15。100mを10秒以内で走る選手がいないのに不思議ですよね。このケースだと1+1が2以上の結果を出していることになる。これがまさに、チームワークってことなんですよね」
400mリレーの例で見ると、個人の能力で圧倒的に勝るアメリカ代表より早いタイムを出した日本代表。つまり「個」では勝てなくても、集団になれば勝てるケースもあるということ。チームワーク次第で、1+1は2以上になるというのだ。
「サッカーに置きかえると、個の能力で劣っていても、チームでは勝てる場合があるということになります。400mリレーで日本が勝てたのはバトンパスの巧さ、つまりは全員が心を合わせて調和した結果。日本人はこのように、仲間に対する気づかいに優れた民族でもある。逆にアメリカにはオレが、オレがという選手が多かったのかもしれない。サッカーにおいても、日本人はチームワークをもっと重視し、強味にできるかもしれないと思うんです」
CHECK
1+1>2
1人じゃできないことも2人ならできるし、うまく力を合わせれば2人で2人分以上の結果を生み出せる。これがうまくハマれば、個々の能力で負けていても、試合には勝つことができるかもしれないのだ。