■着実な進化が、東京Vユース撃破につながる
今シーズンは茨城県1部リーグで2位に終わり、プリンスリーグ昇格は逃したものの、Jユースカップ1回戦で名門東京ヴェルディユースに2対0で勝利を挙げる意地を見せた水戸ホーリーホックユース。また、3年生の中川洋介選手のトップ昇格が決定するなど、チームとして着実な進化を示している。
指揮を執るのは、かつて水戸ホーリーホックで背番号10をつけて活躍した樹森大介監督。実質的に選手をスカウトして加入させるようになったのは今年の3年生の代から。トップ昇格が決まった中川に対しては「プロを目指してみないか」と樹森監督が誘って加入させたという。
樹森監督が指導するにあたって最も大切にしていることは「人間性」だ。その理由をこう語る。
「どんなに技術が高くても人間性がしっかりしてなければ、トップに昇格しても、少しの期間は活躍できるかもしれませんが、息長くプレーすることはできない。自分がプロを経験して、そういう例をたくさん見てきました。技術だけでは限界がある。それはどの世界でも共通して言えることだと思います。だからこそ、サッカー以外のところで常に厳しいことを言っています」
ただ、樹森監督はこの5年間でチームの雰囲気の変化を感じているそうだ。
「以前はサッカーよりもそういう部分にパワーを使ってきましたが、いまはだいぶサッカーに集中できるようになってきました」
■1年生からトップチームに参加。トップとの練習試合も実施
そんな水戸ユースに大きな影響を与えているのが、トップチームの存在である。クラブとしてユース選手を積極的にトップチームの練習に参加させたり、トップチームと練習試合を行うような取り組みを行っている。
中川と金井亮太(3年)は1年生の時に特別指定選手としてトップチームに登録され、それ以降3年間頻繁にトップチームの練習に参加してきた。「そうしたクラブのシステムによって、選手たちは大きく育てられた」と樹森監督は感謝の言葉を口にする。
プレー面だけでなく、プロの選手のサッカーに対する姿勢を感じられたことで選手たちの意識が変わっていった。
また、選手の半分近くはトップ選手と同じ寮で生活しており、プロの選手たちが日々どのように生活をしているのかを知ることができたのも、「心身ともに選手たちの成長につながった」と樹森監督は言う。監督が口うるさく指摘しなくても、選手たち自身が意識高く取り組む雰囲気ができるようになってきた。それがレベルの向上につながっていることは間違いない。
ピッチ内外で「プロ」を実感できる環境こそが、水戸ユースの選手たちの才能を大きく伸ばしているのだ。
取材・記事/エル・ゴラッソ水戸担当 佐藤拓也
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