ハードな練習が続き、試合日程が過密になってくると、身体に疲労が蓄積されていく。そうなったときに気をつけたいのが、ふくらはぎの痙攣だ。一度ふくらはぎが攣ってしまうと、ダッシュやターンなどができなくなり、強いボールを蹴ることができなくなる。試合中に起こりやすい筋肉トラブルを回避するためにも、ふくらはぎの筋トレは必須のメニューだと言えるだろう。そこで今回は、かつて日本代表FWとして活躍し、現在はヴァンフォーレ甲府でフィジカル・コンディショニングコーチを務める谷真一郎さんに「一人でできる、ふくらはぎが攣らなくなるためのトレーニング」を教えてもらった。自主練で取り組み、連戦でも足が攣らない選手になろう!

<谷さんからのアドバイス>
なぜ、ふくらはぎが攣るのか? それは運動の強度や頻度にふくらはぎが耐えられなくなってしまうからです。ここでは、ふくらはぎの持久性を高めるためのトレーニングを紹介します。「実際の試合で連続して起こる動き」を切り取ってトレーニングすることで、筋肉の持久力を高めていきます。トレーニングは足の踏み変えをした後、「後方へダッシュ」「前方へダッシュ」「構えとは反対側へダッシュ」と、3つのシチュエーションで行います。このトレーニングは負荷が高いので、試合の2、3日前に行うようにしてください。そして練習後はマッサージなどをして、試合に向けて疲労を取り除きましょう。疲労が残った状態だと、ふくらはぎが攣りやすくなってしまいます。それは本末転倒なので、気をつけましょう。

<エクササイズの方法>
1:動きやすい足幅を目安に、マーカーを2つ置く
2:上半身は正面を向き、下半身を半身にして、マーカーの前に立つ
3:上半身が低すぎず、高すぎない足幅を取り、膝を少しだけ曲げる
4:その状態で腰のひねりを使って、右足を前、左足を前という形で交互に足を踏み変える
5:ふくらはぎが張ってきたなと感じたら、足の踏み変えを止めて後方(もしくは前方)へダッシュをする
6:足の踏み変え回数の目安は、ふくらはぎが張ってきたなと感じるまで(トップレベルの選手は、60回程度実施する)

<ポイント>
シチュエーション1「後ろへ下がる」
この動きのポイントは、つま先を正面に向けてひざを曲げないことです。それをするとひざがクッションの役割をしてしまい、動きのスピードが遅くなります。そうならないために半身の状態を作り、足のつま先を内側に向けます。そうすることで、地面を踏み込む足に力が入り、地面反力を多く受け取ることができます。つまり、素早い足の踏み変えが可能になり、スムーズに後方へ進むことができるのです。

シチュエーション2「前へ出る」
この動きのときも、進行方向に対してつま先をまっすぐ向けないようにしましょう。その状態で足を後方に引いて、前に出ようとすると滑ってしまうことがあります。とくにジュニア年代で、その光景を目にします。そうならないために、つま先を体の外側に向けて後方へ引き、土踏まずのアーチで地面を抑えて、押すようにして前に出ていきましょう。

シチュエーション3「構えた方向と反対方向へ進まれた時の対応」
この動きのポイントは、腰のひねりを素早く連続して行うこと。腰のひねりを使い、素早く足を踏み変えましょう。シチュエーション1、2、3ともに共通して言えるのですが、足を素早く踏み変え、地面を強く抑えるときにふくらはぎの力が必要になります。つまりこの動作の時に、ふくらはぎに負荷がかかるのです。そのため、足の踏み変えの動きを繰り返してトレーニングすることで、ふくらはぎの筋持久力をアップさせていきます。