2019シーズンの83校目の取材は、創部51年目にして初となる選手権出場を決めた愛知の強豪・愛工大名電サッカー部!取材に協力してくれたのは、キャプテンの鈴木郁人だ!キャプテンの目から見た名電の強みや選手権への意気込みなどを語ってくれたぞ!

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鈴木 郁人
■ポジション:DF
■学年:3年
■身長/体重:175cm/68㎏
■出身チーム:愛知FC庄内(愛知)
■自分の見てほしいプレー:「予測を生かしたポジショニングからの対人守備やインターセプトの部分ですね。自分はセンターバックですが大好きなのはレバンドフスキ選手です(笑)。セルヒオ・ラモス選手も好きですが、レバンドフスキ選手の方が大好きです。今後は空中戦や最後のパスの質にもっとこだわっていきたいですね」

Q:まずはキャプテンになった経緯から聞かせてください。
「選ばれた、というか、具体的に『今日からお前がキャプテンだ』ということはなくて、1年生の時の遠征から僕がキャプテンという雰囲気になっていて(笑)、監督ともよく話すようになっていきました。同級生からも『まあ、このまま郁人がキャプテンになるんだろうな』という雰囲気を感じていて、そのままキャプテンになったという感じです。学年キャプテンのような形でそのまま来て、3年生になったらチーム全体のキャプテンになった、という。もちろん先輩たちが監督と話をした結果だとも思うんですけど」

Q:ではキャプテンだ、と意気込むこともなく。
「はい、自然に。苦労と言っても、今までキャプテン経験もなく、ただ自分で考えて行動しようとは思っていただけで。一つ上や二つ上のキャプテンというのはみんなの前に立って、熱く引っ張るみたいなタイプだったんです。そういうのがキャプテン像だなって自分も思っていたんですけど、キャプテンになって少し経ってみると、自分はそのスタイルではないなと思い直しました。周りを見て、足りない部分を補ったり、監督とのパイプ役を務められるのが自分だなと。無理やりやるのではなく、自分らしさというか、素を出すことでキャプテンをやっているという感じですね」

Q:焚きつけたり、鼓舞したりということはあまりない?
「それもチームの雰囲気によってということにはなってくるんですけど。チームの雰囲気が明るい時はみんなも乗っているので、そこは自分が何もしなくてもそうなります。でも気持ちが落ちている時で、必要だなと思ったらそういうこともします。僕が全部をやるのではなく、なるべくチームでやるという意識でやっていることが、一体感にもつながっていると思っていますね」

Q:今年に入ってからのチームの成長をどのように感じていますか。
「新人戦からもちろん優勝を狙っていましたが、そこでベスト4に終わりました。夏のインターハイ出場もベスト4で終わって、まずベスト4の壁を感じたんです。インターハイが終わった時点で監督に言われたのは、愛知県の中でずば抜けなければ県で優勝はできない、ということで、そこから練習でも改善や工夫を重ねてきましたし、その成果が選手権予選の優勝だったと思っています。それとリーグ戦の後期で3連敗したんです。それは選手権予選の始まる直前で、ケガ人も多くて不調の選手もいて、良くない状態でした。でもすべては選手権のためだって割り切って、ケガの選手もしっかり治してからやろうとか、そういうスタンスに切り替えてからチームの状態が上がりました。メンタル的に上がったというか、リーグ戦の連敗も選手権で勝つためには必要だったと考え方を切り替えた時に、チームが良くなったんですよね。1回戦から大勝できましたし、そこからはむしろ好調になっていったと思います。愛知県で優勝できたのは、あそこでメンタルを切り替えられたからだと思います」

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Q:愛知県代表を勝ち取ったトーナメントで自信を深めていったわけですね。
「準決勝、決勝と良くなっていきました。準々決勝の刈谷高戦は立ち上がりが悪かったんですが、チーム状態としてはトーナメントを通じて上がり続けていたと思います」

Q:キャプテンの目から見た名電の強み、このチームの特徴は?
「今年のチームスローガンは『明るく、前向きに』というものなんですね。新チームになった当初に監督が言った言葉なんですが、僕たちの素直さを見てそう思ったらしいんです。そのスローガンを胸に1年間続けてました。チームスタイルのことを言えば、前線からのハイプレスがそうですね。ハイプレスで相手陣の高い位置からサッカーをするというのが特徴です。ハイプレスは去年の夏から取り入れたものなんですが、それがうまくはまりました。今はどのチームも守備をハーフぐらいから始めると思うんですけど、そこで僕たちは真夏でも大学生相手でもガンガン前からプレスをかけていって、夏に運動量を出せば冬はもっと走れるとも思ってやり続けてきたのが結果として出ていますね。運動量についても試合でやり続けることでついていったと思っています。スプリントの部分は特に試合中に一番出せると思いますから。そして『明るく、前向きに』ともう一つ掲げてきたのが、『日本一のハイプレス』です。それを全国大会でも変えずに戦えたらと思いますね」

Q:ハイプレスは走るだけでは上手くいかないと思いますが、そこはどうやって質を高めてきたのですか。
「そうですね。その基礎になっているのが4対2のボール回しです。ボール回しというと攻撃の練習だと思うのが普通ですが、僕たちは守備の方に重きを置いています。『100%で行って、120%で戻る』であったり、後ろの選手が必ずコーチングすること、そして5対3、5対5と応用していく中で、やはり守備を重点的に考えてやってきたところがあります」

Q:ハイプレスははまれば攻撃にも力が出ますね。
「そうです。そして例年の名電に比べて僕たちの代はセットプレーでも点が取れているところがあります。愛知県の決勝でも2得点をセットプレーから取っていますし、そこもミーティングなどで色々と作戦を練っていたところではありました。ベスト4を前にして一つ隠していたセットプレーの形で決勝は決めたので、全国へ向けても新しいものを考えたいですね(笑)」

Q:全国大会への準備が本格化していく中で、やらなければならないことは何だと思っていますか。
「やっぱり1年間続けてきたプレスの質を上げたいです。ただ走るだけでは全国レベルのチームには全然はまらないと思うので。走っていく角度、奪いに行く角度、後ろからのコーチングの質も運動量もさらに上げていかないといけません。そこで奪えたボールにしても、どっちつかずになったボールにしても押し上げていきたいし、攻守の切り替えも...。もう、数えればきりがないほど多いです(笑)。でもこの課題が多いほどこの期間に練習ができると思うので、それも『明るく、前向きに』取り組みたいです」

Q:とにかく楽しみなところも大きいと思います。
「そうですね。創部初のことなので、先生たちもワクワクしていると思います。サッカー部以外の先生たちからも『おめでとう』と声をかけられて、それも嬉しかったですね。親の友だちとか、それまで関わりのなかった人たちまで『おめでとう』と言ってくれたりして、こうして取材も増えていますし、今までになかったことで、全国大会に出場できたことを実感させてもらえています」

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Q:いざ全国レベルの高校と対戦するにあたり、そういったチームとの対戦経験はどれぐらいあるのですか?
「普段は愛知県の2部リーグですが、今年の夏で言えば神奈川の桐光学園と対戦しました。その時は40分2本で2-3で負けましたが、1本目は2-1で勝って折り返せたんです。その時も夏で暑かったなか、プレスを徹底したことで戦えました。愛知県の決勝で戦った岡崎城西が桐光学園と似たようなポジショニングだったんですが、『いや、桐光学園に比べれば』と思えたところもあったりして(笑)。それに全国大会に出れば何かしらのギャップはあると思うんです。そこでよく言っているのが、相手がメチャクチャ強かろうが、メチャクチャ弱かろうが、自分たちのスタンスを変えないことだってことで。それで続けてきたので、相手がプリンスリーグだろうがプレミアリーグだろうが、やることは変えません。そのスタンスで僕らはギャップを埋められているのかなと思います。続けてきたことに過信はしませんが、自信はあります。しっかり自分たちのやってきたことをやろうと」

Q:個人的に思う、全国大会への意気込みは?
「チームが勝つことが一番ですし、確か愛知県代表は7年連続で初戦敗退をしているらしいんですが、その部分については僕らは初出場なので気にしなくてもいいのかなと(笑)。でも愛知県代表として、そして『愛工大名電って野球の?』『バレーボールの?』『卓球の?』と思われがちな中で、僕らが一つでも多く勝って、『サッカー部もすごく強いんだ』って思ってもらえたらと」

Q:1回戦の相手は筑陽学園になりましたね。
「監督が準決勝と決勝を見に行っていました。そこからスカウティングも始まると思いますし、僕らは公式戦の翌日に部室でミーティングをするんです。ルームシアターで試合を見て、ホワイトボードにどんどん書き込んでいって、修正点を確認して、次の週の練習につなげていくんですが、選手権などでは相手の映像も合わせて見たりして、準備を続けてきました」

Q:期待しています。練習を見ていても皆さん上手いです。名電の伝統のようなものなのでしょうか。
「そうですね。名電と言えば細かくつなぐ、ドリブル、というイメージだと思います。今年もそういう選手がたくさんいますし、勝つスピードや運動量という部分が加わっていると思いますね」

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