まもなく開幕する高校サッカー選手権!初戦であいまみえる京都橘の米澤一成監督と松本国際の竹野入潔コーチの対談企画をお届けするぞ!
第3弾のテーマは「選手権への想い」と「戦い方」について話してもらったぞ。

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米澤 一成
■生年月日:1974年4月30日生まれ
■選手時代のポジション:左SB
■経歴:東稜高校~日本体育大学でプレー。卒業後は世田谷学園高校、近大高専を指導し、2001年の創部から京都橘を率いる。

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竹野入 潔
■生年月日:1974年4月4日生まれ
■選手時代のポジション:右SB
■経歴:県ヶ丘高校~日本体育大学でプレー。卒業後はサラリーマン生活を経て、3年前から松本国際高校と中学生年代の「CLUB MK U15」で指導を行う。

■選手権への想い・どう戦う?

Q:今年は、コロナ禍の影響で活動できない時期も長かったです。チーム作りは大変でしたか?
竹野入「米澤の所は大丈夫だったでしょ!?」
米澤「いやいや、大変だったよ(笑)。3月から3か月間はまったくチーム活動ができなくて、再開したのは6月1日から。1年生は特に可哀そうで出遅れてしまったため、今年は初めて登録メンバーに入っていない。全国大会を経験させたかった選手もいるので、残念です。松本国際はどうだったの?」
竹野入「うちは寮生を部屋に閉じ込めるのは精神的に良くないから、外で身体を動かすために自主練はやっていた。でも、通いの子たちは電車で感染するリスクがあるから参加は禁止で、自転車で通える子は参加しても良いという感じでやっていた」
米澤「今年はチーム作りが本当に難しくて、練習試合もあまりできていない。選手権はどう戦おうかなと思っていた時に、昨年の卒業生が不慮の事故で亡くなってしまった。彼のためにも絶対に選手権に行かなければいけないという想いは強くなったと思う」
竹野入「亡くなる前の最後に会話したのが、息子の闘気(※1)らしいんだよ。闘気は彼を可愛がっていて、よく一緒に飯を食いに行っていた。朝練を終えて、"じゃーな!"ってバイバイした後の出来事だったらしいので、気持ちの整理が難しかったと思う」
米澤「高校、大学で一緒にプレーしていたから、闘気は相当ショックだったと思う」

※1闘気さん:竹野入 潔さんの息子さんであり、京都橘高校に所属していた。

Q:松本国際は練習試合で大敗が続き、県1部リーグも苦しい結果に終わりました。
竹野入「1-5の大敗から始まったリーグ戦は、最後まで一度も勝てなかった。夏休みに帝京大可児高校の胸を借りて練習試合をした際は、20点くらい獲られた(苦笑)。最初は、インターハイがなくなり、可哀そうな3年生のみでAチームを組んでいたので、『結果を出さないと1,2年生が納得しないよ』と言っていたんだけど、結果が出なかったから、夏休みの途中からは実力優先に戻した。予選までの下馬評は高くなく、周りからは『今年はないだろうな』と言われていた」
米澤「予選を通じて成長していった感じ?」
竹野入「点を獲られないよう守備をやっていこうという所から入ったのが大きかったという。トーナメントだから、リスクはなるべく排除しないといけない」
米澤「トーナメントで勝つには、守備は大事だよね」

Q:お互いのチームの映像も見られていると思いますが、それぞれの印象はどうでしょうか?
竹野入「京都橘は、上手いよね。何でもできる印象がある」
米澤「僕は学校の業務が忙しくて、まだ映像をしっかり見れていない。ここから、しっかり分析していこうという感じ。何かをしながら、流し見という感じだけど、前に速い選手がいて、中盤の7番が厄介だなという印象はある。宮嶋って言うんだけ?2人いるんだよね?」
竹野入「歩と航大の2人いるね。俺はもう7回か8回見たけどね!」
米澤「お前、暇だな(笑)。松本国際は乗ったら、本当にややこしいチームだよね。能力が高い子が例年前にいる。ムラっ気がある選手に、いつもやられている気がする」
竹野入「確かに、うちはムラっ気がある選手が多い(笑)」
米澤「動きが読めないから、本当に抑えるのが大変なんだよ。彼らを活躍させるのは、本当に凄いと思う」
竹野入「橘は本当、上手い子が揃っているから、どう対抗するかが鍵。うちの子たちは今、練習中から「橘倒すぞー!」って声を出しながら走ってるよ」
米澤「そういう相手と対戦するのは、本当に面倒くさい(笑)」
竹野入「負ける気で挑むわけじゃないし、勝ちたいと思っているけど、自分たちがどこまでできるか楽しみにしている。こっちも、「Jリーガーになる子と世代別代表のFWを抑えられるのか?」ってハッパをかけている。守備はまとまってきてると思う」
米澤「そういうので、チームが一つになられると対戦しづらいんだよ。本当に辞めて欲しい(笑)。特に1回戦で当たるのが嫌なんだよ」
竹野入「ボールは握られるだろうけど、一矢報いるからな!上田西の例があるからな!(笑)」
米澤「そうなんだよ。長野県に勝ったことないんだよ。上田西と対戦した時も、昨年の鵬学園と対戦した時も、凄くやりにくかった。鵬学園がシュートを打ったら、枠から外れていても、観客が湧くのに対し、うちが打っても湧かない」
竹野入「格上相手に善戦すると、子どもたちは乗ってくるもんね」

Q:竹野入さんはお子さんが京都橘に所属していました。親目線で見た橘の良さは、どんな点ですか?
竹野入「ヨネは本当に凄いなと思っていて、東京で教員を始めた時から応援していました。合宿を見に、新潟まで行ったりもしました。橘に行ってからも松本まで遠征に来てくれたし、全国決勝の応援にも行った。3年前から高校サッカーに関わるようになり、その凄さがより分かった。当時感じていた準優勝の凄さと今の感じ方は違う。ある意味尊敬しているけど、負けたくない。良いチームじゃなかったら、息子を送っていない。文武両道を推し進めている高校だったし、息子にとっても、京都橘に行ったのは良かったと思う。だからこそ、そんな良いチームである京都橘に勝ちたいなと思っている」